サクライ ユイ
助手
(文学部)
修士
2018年度
研究成果概要: 本研究は、華厳教学形成期における地論・摂論教学の超克という側面を明らかにすることを目的とし、法蔵撰『探玄記』の成立過程について検討を行ったものである。その結果、法蔵は自らの思想的立場を地論・摂論学派の影響から切り離すという意図を... 本研究は、華厳教学形成期における地論・摂論教学の超克という側面を明らかにすることを目的とし、法蔵撰『探玄記』の成立過程について検討を行ったものである。その結果、法蔵は自らの思想的立場を地論・摂論学派の影響から切り離すという意図を持ち、『探玄記』に修正を加えていたことを指摘した。加筆修正が行われた時期と合わせて考えると、法蔵は晩年に禅宗の影響を受け、自らの思想的源流についての意識を変化させた可能性がある。ただし、法蔵の姿勢が変化した背景には複合的な要因があると考えられ、この点については今後さらに考究していきたい。