氏名

リンザン マユリ

林山 まゆり

職名

教諭

所属

(本庄高等学院)

学内研究制度

特定課題研究

中世高野山における真言教学の展開

2010年度

研究成果概要: 高野山は空海(七七四~八三五)の開山以来、現在にいたるまで真言宗の主要な霊場として人々の信仰を集めている、しかし、空海以降、高野山上でどのような教学の展開があったのかについては、これまでほとんど注目されてこなかった。そこで、室町... 高野山は空海(七七四~八三五)の開山以来、現在にいたるまで真言宗の主要な霊場として人々の信仰を集めている、しかし、空海以降、高野山上でどのような教学の展開があったのかについては、これまでほとんど注目されてこなかった。そこで、室町時代の学僧である宥快(1345~1416)の著作を中心に、中世の真言宗の学問僧の著作群を分析し、高野山における教学の展開について考察することにした。 今回、研究費を受ける機会を与えられたことにより、思想内容からだけではなく、教説の伝承、構築の方法からみた高野山教学の考察という、二方向からのアプローチが可能となった。 具体的には以下のとおりである。① 『菩提心論鈔』の考察。(教学についての考察) まず、教学そのものを考察するため、宥快の著作『菩提心論鈔』(『真言宗全書』所収)に見える菩提心の解釈についての考察した。 『菩提心論』は即身成仏の思想を説明するうえでは欠かせない論書であり、空海以降の真言宗の学僧に重んじられ、多くの注釈書が作られてきた。今回取り上げる『菩提心論鈔』もそのような注釈書の一つである。宥快の『菩提心論鈔』を検討することは、空海以降の「菩提心」の解釈の変遷を見る上で有効であると考える。 今年度は、特に菩提心の概念について解釈している部分について考察した。検討した結果の一部は、日本印度学仏教学会の学術大会にて口頭発表、原稿化した。菩提心に関する問題だけでもまだ多く残され、『菩提心義鈔』全体を通した考察も必要であることから、今後も継続して研究を続ける予定である。② 『実語鈔』に関する調査。(伝授についての考察) 2010年9月に高野山図書館にて宥快撰『実語鈔』諸本の書誌的データ収集、および複写を行った。 宥快が小野流の一つである安祥寺流(以下、安流とする)を相承し、高野山にもたらしたことは既知のことであるが、なぜ宥快が安流を相承したのかについて言及した研究はほとんどない。『実語鈔』は安流が小野流の正統であることを主張した書であり、特に小野流の大法である大元帥法や請雨法の相承に関しては、安流が正統であると主張すると同時に醍醐三宝院流への相承を痛烈に批判している書でもある。本書を考察することにより、高野山での伝授の様相の一端をうかがうことが可能となると考えている。 今後、今回収集した複写をもとに、翻刻および内容に関する報告を行う予定である。 以上