氏名

タナベ ケイコ

田邉 恵子

職名

助手

所属

(文化構想学部)

学内研究制度

特定課題研究

W.ベンヤミン『1900年ごろのベルリンの幼年時代』における〈触覚〉の機能

2017年度

研究成果概要:ベンヤミンの回想録『1900年ごろのベルリンの幼年時代』(『幼年時代』1932-38年)における主人公「子ども」は、「前言語的」(アガンベン)、「社会化以前」(リントナー)の知覚能力を具備している。本研究ではこのような子どもの知覚...ベンヤミンの回想録『1900年ごろのベルリンの幼年時代』(『幼年時代』1932-38年)における主人公「子ども」は、「前言語的」(アガンベン)、「社会化以前」(リントナー)の知覚能力を具備している。本研究ではこのような子どもの知覚=認識能力のうち、「触覚」を取り上げて分析することで、『幼年時代』における作者ベンヤミンの回想方法と子どもという形象がいかなる相関関係のもとにあるのかを問うた。その結果、『幼年時代』における子どもの「手つき」「触れる」と言った挙措は、単に身体を介した「遊び」の次元に留まるのではなく、ベンヤミン自身の「迂回」「逸脱」を原理とする回想=執筆方法と密接な関係のもとにあることが明らかとなった。

W.ベンヤミンのラジオ放送作品(1927年~1933年)研究-後期著作群への位置付けの試み

2018年度

研究成果概要:ヴァルター・ベンヤミンが1920年代後半から1930年代はじめに取り組んだ「ラジオ放送作品」について、新批判版全集第9巻および、ザビーネ・シラー=レルクの研究を読解することを基礎として分析を加えた。その結果として、彼が児童向けに行...ヴァルター・ベンヤミンが1920年代後半から1930年代はじめに取り組んだ「ラジオ放送作品」について、新批判版全集第9巻および、ザビーネ・シラー=レルクの研究を読解することを基礎として分析を加えた。その結果として、彼が児童向けに行った一連のシリーズ「ベルリンのお時間 Berliner Stunde」のいくつかのテクストには、他作品との間テクスト性が認められた。とりわけ特筆すべきは、後期の代表作『1900年ごろのベルリンの幼年時代』(1932-38年)所収「ティーアガルテン」「市場」と、ラジオ放送作品には、ほぼ一致する文言が用いられている点だ。したがってベンヤミンがラジオを用いた時期は、後期思想の発展を可能にした段階であったと位置づけられる。