氏名

ササキ ミキオ

佐々木 幹雄

職名

教諭

所属

(本庄高等学院)

連絡先

メールアドレス

メールアドレス
sasakim@waseda.jp

住所・電話番号・fax番号

住所
〒376-0035本庄市 大字西富田字大久保山1136
電話番号
0495-21-2400
fax番号
0495-24-4065

学歴・学位

学位

文学修士 論文 早稲田大学 考古学

所属学協会

日本考古学協会

「東アジアの歴史と文化」懇話会

祭祀考古学会

嶺南考古学会(韓国)

研究分野

キーワード

考古学(含先史学)

研究テーマ履歴

土器焼成の実験的研究

個人研究

日本祭祀遺物の研究

個人研究

日韓交流の歴史

個人研究

論文

金海進礼粉青沙器

佐々木幹雄

早稲田大学本庄高等学院紀要 教育と研究25号2007年03月-

世界の土器づくり

佐々木幹雄

同成社2005年12月-

韓国・済州島のオンギ(甕器)づくり

佐々木幹雄

同成社 世界の土器づくり2005年12月-

須恵器の色調を復元する−焼成実験からの報告−

佐々木幹雄

考古学ジーャナル

須恵器の色−実験的技術復元と理化学的分析に関する考察−

佐々木幹雄

古代1122004年-

還元焔土器の焼成技術−焼成実験からの報告−

佐々木幹雄

第7回福泉博物館国際学術大会 三韓・三国時代の土器生産技術2003年-

中国・宝墩遺跡出土土器の焼成について

佐々木幹雄

教育と研究

邪馬台国への道程−倭のクニグニとその風景

考古学から見る邪馬台国(菊池徹夫)/雄山閣出版1996年05月-

加耶の陶質土器を眺めて

韓国の前方後円形墳(岡内三眞)/雄山閣出版1996年05月-

色調■瓦質土器■焼成■対■−蔚山下垈遺跡■−(色調より見た瓦質土器の焼成について−蔚山下垈遺跡の場合)

嶺南考古学(嶺南考古学会)韓国(大邱)181996年06月-

須恵器の質感・色調を復元する

アシアンレター(「東アジアの歴史と文化」懇話会)11997年02月-

還元焔小考

古代/早大考古学会981994年09月-

多目的実験窯の構築および焼成実験報告

史観/早大史学会1311994年09月-

韓国・竹幕洞祭祀遺跡を訪ねて

王朝の考古学−大川清博士古稀記念論文集/雄山閣1995年02月-

大久保山III−本庄校地埋蔵文化財調査報告

早大出版部1995年03月-

奈良県・大神神社祭礼調査(2)

教育と研究−早大本庄学院紀要131995年03月-

学内研究制度

特定課題研究

現代韓国陶磁器における日本の「民芸」の影響

2011年度

研究成果概要: 今回の研究は、これまで10余年以上にわたり、調査、研究してきた韓国金海市進礼で展開する粉青沙器(陶磁器)の生産、そしてそれを始めた日本人陶芸家合田好道の波乱万丈なる生涯、また、韓国に渡る前に合田が暮らした民藝陶器の故郷栃木県益子... 今回の研究は、これまで10余年以上にわたり、調査、研究してきた韓国金海市進礼で展開する粉青沙器(陶磁器)の生産、そしてそれを始めた日本人陶芸家合田好道の波乱万丈なる生涯、また、韓国に渡る前に合田が暮らした民藝陶器の故郷栃木県益子、さらに柳らの展開した民藝論について、最終的な確認調査を行った。 韓国進礼の陶磁器生産については、現在、当地で作られている鉄分の混じる「コーベクチャ」なる白磁が、これまで考えられていた「高麗白磁」の「高白磁」の意ではなく、鉄分が混じらない純白磁に対し、より古い段階の白磁を意味する「古白磁」であることが判明した。漢字を使わない韓国でのよく間違えるパターンの1つである。この他、現在進礼で使う素地についても、一次粘土であるホワイトカオリン、ピンクカオリン、2次粘土のオブ粘土(山清粘土の一種)、その中間に位置する日本でいう蛙目粘土(ワモク)、さらに韓国伝統の釉薬粘土が、鉄分が少なく青磁や粉青沙器に使う水土、不純物、鉄分が多く腐敗土に近い薬土などについての知見を広めることができた。 合田好道については、郷里の香川県観音寺市の本家宅を訪ね確認調査をおこなった。その結果、当初の予想とは違い、当時(明治~大正)の合田家は江戸時代から続く旧家で、相当な資産を有する家であることが分かった。筆まめな好道は、戦中から韓国に渡る1970年代ごろまで、しきりに母、兄に手紙を書いた。その資料が現在観音寺に保管されており、これまで不明であった、濱田庄司との接触、そして、益子入りの事情も詳しく知ることが出来た。 栃木県益子では、合田とともに金海進礼金海窯で仕事をした和田安雄氏を訪ね、金海窯で合田が用いた素地、印花象嵌技法、それに当時のデザインについて確認した。これまで、金海窯の素地については慶尚北道の山清のカオリン、徳山の粘土を用いたとされてきたが、その発見の経緯が不明であった。和田氏からその発見の事情、様子を詳しく聞くことが出来た。また、現在、進礼の陶芸郷で印花象嵌に使われている回転図章が益子の佐久間藤太郎の窯で昔から使われていることも確認することが出来た。さらに、現在、進礼の印花象嵌に盛んに使われている花弁文は合田の頃には使われておらず、この文様は合田後に韓国人陶工の手により使われだしたことが判明し、合田後に見られた日本離れ一例であることを確認することが出来た。 以上、極めて有効な調査をすることが出来た。

韓国における生活陶器の考古学的研究

2013年度

研究成果概要: 本研究は韓国の生活陶器である甕器を考古学的に調査、研究するものである。今年度は基礎的研究として、まず、2013年8月に蔚山市蔚州郡外高山にある甕器博物館、同年12月にはソウルにある甕器民俗博物館を中心に甕器の種類・器形・用途につ... 本研究は韓国の生活陶器である甕器を考古学的に調査、研究するものである。今年度は基礎的研究として、まず、2013年8月に蔚山市蔚州郡外高山にある甕器博物館、同年12月にはソウルにある甕器民俗博物館を中心に甕器の種類・器形・用途について調べた。以下はその調査報告である。 甕器の種類としては、チルグルと呼ばれる無釉軟質瓦器、無釉硬質還元焔陶器、オジグルと呼ばれる藁灰を使ったいわゆる会寧焼、天目釉(鉄釉)を掛けた「石間朱」、そして腐葉土を使った通例のオンギなど施釉の陶器が存在することを改めて確認した。量的に多いのは通例のオンギであるが、藁灰釉と天目釉はいわゆる民藝陶器の釉薬として日本に大きな影響を与えた釉薬である。 器形として、圧倒的に多いのは甕形、壺形で、まさに「甕器」と呼ばれる所以であり、次いで、碗・丼形の食器が多い。また、特定の用途のため特有な形の甕器も少なからず見られる。とくに、焼酎の蒸留器、各種蒸し器、蜂蜜収集器、保温器などはその例であり、機能を重視した形となっている。さらに、貯蔵や醸造に使う甕や壺でも、内容物、例えば、にがり、松脂、白菜、大根、立ち魚、小エビ、オキアミなどによりその形に違いがあるのも興味深いことであった。韓国の甕器文化の多様性を物語るものである。 用途としては、甕形、壺形、碗・丼などの貯蔵、醸造・発酵、食器など韓国の食文化に関連するものが圧倒的に多い。次いで、多いのは加熱・耐熱用で、台所に置かれて調理に使われる鍋を筆頭に、薬湯器、火鉢、七輪、さらに、耐熱としての煙突、保温器などがある。その他、水、酒、尿などの液体物を運ぶ運搬器、長鼓、「水太鼓」のような楽器、硯、水滴、筆架、筆立、文鎮などの文房具、薬研や薬尿瓶などの医薬器、その他、風呂桶など実に多種、多様である。まさに、甕器は人々の生活の隅々にまで入り込み、生活の基盤を支えた雑器といえる。 生活容器に占める甕器の役割を素材から考えた場合、やはり、貯蔵、醸造・発酵機能に優れていることがあげられる。食器や文房具、加熱容器、楽器などは甕器以外でも白磁、青磁といった焼物、鉄、真鍮といった金属器でもつくられるが、ともに材質が緻密であるため、醸造・発酵には向かない。 甕器が貯蔵、醸造・発酵に優れている理由は高い通気性にある。甕器に通気性が生まれるのは、甕器の素地は水簸せず、焼結の弱い酸化焔で、しかも1200℃以下の低温で焼くためである。器壁に気孔が残り、通気性が確保されるという。通気性は金属器や白磁器にはない、甕器特有のものである。 今回の研究は、甕器の種類、用途、器形とともに、雑器の素材の特性をも確認することにあったが、今後は、甕器の文様、装飾など製作技術にも視野を広げてゆきたい。

韓国の生活陶器オンギ(甕器)に残された製作技法の調査・研究

2014年度

研究成果概要:本研究は、韓国の生活陶器である甕の肩部に回る縄状突帯と胴部に残る連続刻み状痕跡いついて聞き取り調査し、その由来、意味などを考察したものである。その結果、突帯の意味は、飾りとする意見が多いなか、乾燥時の縦割れや歪み防止、使用時に運び...本研究は、韓国の生活陶器である甕の肩部に回る縄状突帯と胴部に残る連続刻み状痕跡いついて聞き取り調査し、その由来、意味などを考察したものである。その結果、突帯の意味は、飾りとする意見が多いなか、乾燥時の縦割れや歪み防止、使用時に運び易くするための縄掛け用、といった機能面を指摘する意見もあった。筆者は海外の例から、成形時の歪み補正と想定していたが、甕の肩部に割竹をタガ状に回すものが使用例として展示されているのを確認したので、運搬、移動に当たり手掛りとするため予め粘土で作ったものとも考えられる。一方、甕の連続刻み状の痕跡であるが、全羅道(済州島を含む)だけでなく、慶尚道にもあることが確認された。痕跡は成形後の器面調整において、ヘラ工具が器面の凹凸により微妙な振動を生じ、器面を一定間隔で刻み込んでしまうもので、日本でいう飛び鉋の起源とも考えられる。なお、呼称の由来は、器面調整の際、轆轤の回転により器面周辺に生じた「風」が工具と接触して生ずる「ブーン、ブーン」という空気音にある。それが地域により、プルン、フルン、プルルン、ポロロンなどと呼ばれるようになったものである。

韓国の生活陶器オンギ(甕器)に残された製作技法の調査・研究

2014年度

研究成果概要:本研究は、韓国の生活陶器である甕の肩部に回る縄状突帯と胴部に残る連続刻み状痕跡いついて聞き取り調査し、その由来、意味などを考察したものである。その結果、突帯の意味は、飾りとする意見が多いなか、乾燥時の縦割れや歪み防止、使用時に運び...本研究は、韓国の生活陶器である甕の肩部に回る縄状突帯と胴部に残る連続刻み状痕跡いついて聞き取り調査し、その由来、意味などを考察したものである。その結果、突帯の意味は、飾りとする意見が多いなか、乾燥時の縦割れや歪み防止、使用時に運び易くするための縄掛け用、といった機能面を指摘する意見もあった。筆者は海外の例から、成形時の歪み補正と想定していたが、甕の肩部に割竹をタガ状に回すものが使用例として展示されているのを確認したので、運搬、移動に当たり手掛りとするため予め粘土で作ったものとも考えられる。一方、甕の連続刻み状の痕跡であるが、全羅道(済州島を含む)だけでなく、慶尚道にもあることが確認された。痕跡は成形後の器面調整において、ヘラ工具が器面の凹凸により微妙な振動を生じ、器面を一定間隔で刻み込んでしまうもので、日本でいう飛び鉋の起源とも考えられる。なお、呼称の由来は、器面調整の際、轆轤の回転により器面周辺に生じた「風」が工具と接触して生ずる「ブーン、ブーン」という空気音にある。それが地域により、プルン、フルン、プルルン、ポロロンなどと呼ばれるようになったものである。 

韓国の醸造・発酵陶器である甕器の通気性に関する実験考古学的研究

2015年度

研究成果概要:本研究は、韓国の甕器が「息をする」といわれる理由、すなわち甕器の「通気性」について、焼成温度、焼成焔、素地から考えたものである。 現在、韓国各地の多くの甕器業者は甕器を、通常の施釉陶器を焼く温度より低い1000℃~1200℃の間で...本研究は、韓国の甕器が「息をする」といわれる理由、すなわち甕器の「通気性」について、焼成温度、焼成焔、素地から考えたものである。 現在、韓国各地の多くの甕器業者は甕器を、通常の施釉陶器を焼く温度より低い1000℃~1200℃の間で焼いている。その理由は1200℃以上に温度を上げると、素地が焼締まり、通気性が失われる、耐火度の低い素地では溶融し、形が崩れてしまうから、という。1000℃~1200℃と幅があるのは個々の素地の焼結温度に差があるためと思われる。 通気性が生まれるいま一つの理由は焼成焔と関係する。韓国の各地の甕器業者によると、甕器は還元焔で焼くと通気性が悪くなるので、酸化焔で焼く、という。還元焔では、素地に含まれる酸素が奪われ、微妙に縮み、通気性が失われるためと思われる。 素地の粗・精との関係においては、甕器に使う粘土と一般的な施釉陶器の粘土の成分の違いを沈殿法で観察した。その結果、施釉陶器の素地は均一な沈殿相を示すのに対し、甕器の場合は下に粗い粒子が溜まり、素地が2層に分かれることが観察された。この素地の粗さが甕器の通気性を生む理由の一つと考えられる。 以上のことから甕器の通気性は、まずは素地の粗さ、酸化焔焼成、そして低い焼成温度により、得られることが推測された。甕器を焼く窯の構造も通気性に関係する、と考え、京畿道洪城郡葛山面東星里にある胴木間の焚口が焼成部と直角に曲がる独特の形をした甕器窯を訪ねたところ、直角に曲がるのは黄海に近いこの地域特有の海風を避けるためだ、ということが確認された。しかし、隣の甕器業者の窯は通例の型であったため、焚口が曲がる窯はこの地域共通のものでも、また甕器特有なものでもないことが確認された。

韓国の醸造・発酵陶器である甕器の通気性に関する実験考古学的研究

2015年度

研究成果概要:本研究は、韓国の甕器が「息をする」といわれる理由、すなわち甕器の「通気性」について、焼成温度、焼成焔、素地から考えたものである。 現在、韓国各地の多くの甕器業者は甕器を、通常の施釉陶器を焼く温度より低い1000℃~1200℃の間で...本研究は、韓国の甕器が「息をする」といわれる理由、すなわち甕器の「通気性」について、焼成温度、焼成焔、素地から考えたものである。 現在、韓国各地の多くの甕器業者は甕器を、通常の施釉陶器を焼く温度より低い1000℃~1200℃の間で焼いている。その理由は1200℃以上に温度を上げると、素地が焼締まり、通気性が失われる、耐火度の低い素地では溶融し、形が崩れてしまうから、という。1000℃~1200℃と幅があるのは個々の素地の焼結温度に差があるためと思われる。 通気性が生まれるいま一つの理由は焼成焔と関係する。韓国の各地の甕器業者によると、甕器は還元焔で焼くと通気性が悪くなるので、酸化焔で焼く、という。還元焔では、素地に含まれる酸素が奪われ、微妙に縮み、通気性が失われるためと思われる。 素地の粗・精との関係においては、甕器に使う粘土と一般的な施釉陶器の粘土の成分の違いを沈殿法で観察した。その結果、施釉陶器の素地は均一な沈殿相を示すのに対し、甕器の場合は下に粗い粒子が溜まり、素地が2層に分かれることが観察された。この素地の粗さが甕器の通気性を生む理由の一つと考えられる。 以上のことから甕器の通気性は、まずは素地の粗さ、酸化焔焼成、そして低い焼成温度により、得られることが推測された。甕器を焼く窯の構造も通気性に関係する、と考え、京畿道洪城郡葛山面東星里にある胴木間の焚口が焼成部と直角に曲がる独特の形をした甕器窯を訪ねたところ、直角に曲がるのは黄海に近いこの地域特有の海風を避けるためだ、ということが確認された。しかし、隣の甕器業者の窯は通例の型であったため、焚口が曲がる窯はこの地域共通のものでも、また甕器特有なものでもないことが確認された。

日韓陶芸技法(施文具・回転図章)の伝播に関する調査・研究

2016年度

研究成果概要: 本研究は日本や韓国に見られる印花象嵌技法の道具の一つである回転図章を取り上げ、日韓での広がり、日韓における系譜などを追究したものである。 回転図章とは、古代メソポタミアの円筒印章にも似て、円筒や円盤の曲面に一周するように文様を刻... 本研究は日本や韓国に見られる印花象嵌技法の道具の一つである回転図章を取り上げ、日韓での広がり、日韓における系譜などを追究したものである。 回転図章とは、古代メソポタミアの円筒印章にも似て、円筒や円盤の曲面に一周するように文様を刻み、平面端部の中心を穿孔し、軸棒を通し、添え木を当てて回転できるようにした施文具である。印判(ハンコ)を一回一回押すよりも、文様のずれもなく、一定した力で安定的、しかも短時間で施文ができる。回転図章は各国の陶芸解説書にも「ローラー」として紹介され、決して珍しい道具ではない。現在、韓国の窯場で、この回転図章が確認されたのは慶尚南道金海市進礼面と慶尚北道聞慶邑の陶芸郷の2か所だけである。進礼、聞慶ともに日本人陶芸家により1970年代半ばに伝えられた技術であることが確認されている。進礼に伝播した技術は栃木県益子の1軒の窯元(佐久間藤太郎窯)にだけ伝えられていた技法であり、益子でもメインとして使われている施文具ではない。進礼に伝えられた技術はその村の過半の窯屋で使われているが、聞慶では日本人陶芸家が伝えた窯屋とその分家の2軒でしかない。今回の調査では、このほか、利川、驪州などの窯屋を尋ねたが、回転図章を使っている窯屋はなかった。日本でも笠間、京都(清水、京焼)、鹿児島(薩摩焼)、沖縄(壺屋焼)などを尋ねたが、京都、清水の2軒で確認できただけで、圧倒的に使っていない窯屋が多かった。益子の回転図章は主文様に近い文様を刻む印花で、金海進礼のスタイルもこれに似るが、京都の2軒は地文、背景文として軽く、部分的に施すもので、決してそれだけでは主文様になることはないと推測された。調査件数が極めて少ないが、回転図章は技法としては知られているものの、実際に行っている窯屋は極めて少ないということが分かった。そうした中、韓国の2例は日本人が伝えたということとともに、その一つ進礼での拡散度(普及率)の高さは極めて特異である。今後のさらなる調査が必要になろう。

日韓陶芸技法(施文具・回転図章)の伝播に関する調査・研究

2016年度

研究成果概要: 本研究は日本や韓国に見られる印花象嵌技法の道具の一つである回転図章を取り上げ、日韓での広がり、日韓における系譜などを追究したものである。 回転図章とは、古代メソポタミアの円筒印章にも似て、円筒や円盤の曲面に一周するように文様を刻... 本研究は日本や韓国に見られる印花象嵌技法の道具の一つである回転図章を取り上げ、日韓での広がり、日韓における系譜などを追究したものである。 回転図章とは、古代メソポタミアの円筒印章にも似て、円筒や円盤の曲面に一周するように文様を刻み、平面端部の中心を穿孔し、軸棒を通し、添え木を当てて回転できるようにした施文具である。印判(ハンコ)を一回一回押すよりも、文様のずれもなく、一定した力で安定的、しかも短時間で施文ができる。回転図章は各国の陶芸解説書にも「ローラー」として紹介され、決して珍しい道具ではない。現在、韓国の窯場で、この回転図章が確認されたのは慶尚南道金海市進礼面と慶尚北道聞慶邑の陶芸郷の2か所だけである。進礼、聞慶ともに日本人陶芸家により1970年代半ばに伝えられた技術であることが確認されている。進礼に伝播した技術は栃木県益子の1軒の窯元(佐久間藤太郎窯)にだけ伝えられていた技法であり、益子でもメインとして使われている施文具ではない。進礼に伝えられた技術はその村の過半の窯屋で使われているが、聞慶では日本人陶芸家が伝えた窯屋とその分家の2軒でしかない。今回の調査では、このほか、利川、驪州などの窯屋を尋ねたが、回転図章を使っている窯屋はなかった。日本でも笠間、京都(清水、京焼)、鹿児島(薩摩焼)、沖縄(壺屋焼)などを尋ねたが、京都、清水の2軒で確認できただけで、圧倒的に使っていない窯屋が多かった。益子の回転図章は主文様に近い文様を刻む印花で、金海進礼のスタイルもこれに似るが、京都の2軒は地文、背景文として軽く、部分的に施すもので、決してそれだけでは主文様になることはないと推測された。調査件数が極めて少ないが、回転図章は技法としては知られているものの、実際に行っている窯屋は極めて少ないということが分かった。そうした中、韓国の2例は日本人が伝えたということとともに、その一つ進礼での拡散度(普及率)の高さは極めて特異である。今後のさらなる調査が必要になろう。

日・韓の発酵・醸造容器に関する比較考古学的研究

2017年度

研究成果概要:発酵・醸造容器として韓国では甕が用いられるのは、寒冷落葉樹林帯に属し、樹脂分の強い松が多く、かつ植物の育ちにくい花崗岩の多い韓国では、樽の素材である木材より、焼物の素地である花崗岩の風化粘土がいたるところにあるからである。一方、日...発酵・醸造容器として韓国では甕が用いられるのは、寒冷落葉樹林帯に属し、樹脂分の強い松が多く、かつ植物の育ちにくい花崗岩の多い韓国では、樽の素材である木材より、焼物の素地である花崗岩の風化粘土がいたるところにあるからである。一方、日本で樽が用いられるのは、温暖多湿な日本には杉、檜などの殺菌作用のある森林が豊富でその素材に事欠かないからである。気候風土だけでなく、製作過程、維持管理においても大きな違いがある。韓国の甕は装飾、整形を一切しないため製作過程が簡単で、甕工人は短時間で大量の甕を作ることができる。が、重く、衝撃に弱く破損しやすい。これに比し日本の樽は乾燥、パーツの成形など組立前の準備に時に年単位での期間を要し、かつ組立工程も複雑である。が、軽く、衝撃に強く破損しにくいという点がある。素材は違っても日韓それぞれで発酵・醸造容器として使われるのはともに適度な通気性が確保されるからという。木材はその繊維質を通して通気性が確保されるが、釉薬でおおわれ、一見して通気性が無いように見える甕も粗い素地を1200℃以下で酸化㷔焼成するので、気孔が残り通気性が確保されるのである。日韓それぞれの発酵・醸造容器の相違点、共通点が確認されたが、果たして共通点の通気性が発酵とどうかかわるかが今後の課題である。なお、本研究は2017K-372(基礎助成)と連動して行った。 

日・韓の発酵・醸造容器に関する比較考古学的研究

2017年度

研究成果概要:発酵・醸造容器として韓国では甕が用いられるのは、寒冷落葉樹林帯に属し、樹脂分の強い松が多く、かつ植物の育ちにくい花崗岩の多い韓国では、樽の素材である木材より、焼物の素地である花崗岩の風化粘土がいたるところにあるからである。一方、日...発酵・醸造容器として韓国では甕が用いられるのは、寒冷落葉樹林帯に属し、樹脂分の強い松が多く、かつ植物の育ちにくい花崗岩の多い韓国では、樽の素材である木材より、焼物の素地である花崗岩の風化粘土がいたるところにあるからである。一方、日本で樽が用いられるのは、温暖多湿な日本には杉、檜などの殺菌作用のある森林が豊富でその素材に事欠かないからである。気候風土だけでなく、製作過程、維持管理においても大きな違いがある。韓国の甕は装飾、整形を一切しないため製作過程が簡単で、甕工人は短時間で大量の甕を作ることができる。が、重く、衝撃に弱く破損しやすい。これに比し日本の樽は乾燥、パーツの成形など組立前の準備に時に年単位での期間を要し、かつ組立工程も複雑である。が、軽く、衝撃に強く破損しにくいという点がある。素材は違っても日韓それぞれで発酵・醸造容器として使われるのはともに適度な通気性が確保されるからという。木材はその繊維質を通して通気性が確保されるが、釉薬でおおわれ、一見して通気性が無いように見える甕も粗い素地を1200℃以下で酸化㷔焼成するので、気孔が残り通気性が確保されるのである。日韓それぞれの発酵・醸造容器の相違点、共通点が確認されたが、果たして共通点の通気性が発酵とどうかかわるかが今後の課題である。なお、本研究は2017B-350と連動して行った。 

韓国甕器(オンギ)の醸造・発酵に必要な通気量に関する考古学的研究

2018年度共同研究者:新井 宏嘉

研究成果概要:韓国の発酵、醸造容器である甕の通気量を地質学分野で構成粒子のモード分析に用いるポイントカウント法により計った。0.5mm間隔で500ポイントをカウントし、石英、長石(斜長石およびカリ長石)、不透明鉱物、その他の粒子、気泡、基質(2...韓国の発酵、醸造容器である甕の通気量を地質学分野で構成粒子のモード分析に用いるポイントカウント法により計った。0.5mm間隔で500ポイントをカウントし、石英、長石(斜長石およびカリ長石)、不透明鉱物、その他の粒子、気泡、基質(20μm以下)の6種の割合を計った。気泡を通気の空隙と考え、その割合を調べた。分析に用いた資料①は全南務安の田土をそのまま使用したもの、同②は業者が調合した甕器用の粘土、資料③は済州島の山土をそのまま使用したものである。その結果、今日一般に韓国で使われている甕器の気泡=通気性は1.0%前後から2%前後であることが知られた。ついで、各資料の気泡の大きさをアスペクト比と幾何平均で求めると、資料①が一番大きく、次いで③、資料②は極端に気泡の大きさが気泡の沖小さいことが知られた。なおこの研究は特定課題基礎助成研究(2018K-431)と合わせて行ったものである。

韓国オンギ甕の醸造・発酵に必要な通気量に関する考古学的研究

2018年度共同研究者:新井 宏嘉

研究成果概要:韓国の発酵、醸造容器である甕の通気量を地質学分野で構成粒子のモード分析に用いるポイントカウント法により計った。0.5mm間隔で500ポイントをカウントし、石英、長石(斜長石およびカリ長石)、不透明鉱物、その他の粒子、気泡、基質(2...韓国の発酵、醸造容器である甕の通気量を地質学分野で構成粒子のモード分析に用いるポイントカウント法により計った。0.5mm間隔で500ポイントをカウントし、石英、長石(斜長石およびカリ長石)、不透明鉱物、その他の粒子、気泡、基質(20μm以下)の6種の割合を計った。気泡を通気の空隙と考え、その割合を調べた。分析に用いた資料①は全南務安の田土をそのまま使用したもの、同②は業者が調合した甕器用の粘土、資料③は済州島の山土をそのまま使用したものである。その結果、今日一般に韓国で使われている甕器の気泡=通気性は1.0%前後から2%前後であることが知られた。ついで、各資料の気泡の大きさをアスペクト比と幾何平均で求めると、資料①が一番大きく、次いで③、資料②は極端に気泡の大きさが気泡の沖小さいことが知られた。なおこの研究は特定課題B研究(2018B-343)と合わせて行ったものである。

日本窯業技術の歴史的展開に関する実験的研究-還元焔冷却法から酸化焔冷却法へ-

1998年度共同研究者:谷川 章雄, 余語 琢磨

研究成果概要: 焼き物の色調はそれを使う人々の意識(好みなどを含む)を反映し、時代とともに変化する。本研究は古墳時代から古代にかけて展開した灰色を基調とする還元焔土器(須恵器など)が中世になると大方茶色を基調とする酸化焔陶器(常滑など)へと変化... 焼き物の色調はそれを使う人々の意識(好みなどを含む)を反映し、時代とともに変化する。本研究は古墳時代から古代にかけて展開した灰色を基調とする還元焔土器(須恵器など)が中世になると大方茶色を基調とする酸化焔陶器(常滑など)へと変化して行った、その理由を焼き物の焼成技術と絡め、実験考古学的方法で検討したものである。 窖窯を使い焼き物の焼成実験を繰り返す過程で、焼成と色調には次のような関係のある事が確認された。 ①土器焼成とは火入れから期待した最高温度に達するまでの昇温段階だけでなくその後温度が下がる降温(冷却)段階までをも含めて考える必要がある。 ②昇温、降温両段階ともに酸化状態、還元状態がある。 ③焼き物の表面の色調は降温段階において窯内が酸化か還元かによって決まる。 ④無釉の土・陶器の場合、その色調は胎土に含まれる鉄分の酸化・還元反応による。 かかる原則を前提とし、さらに種々実験を行なった結果次の事が確認された。 ⑤還元焔の場合、灰色を基調としつつも灰白、灰、灰黒、黒色など、酸化焔の場合、茶色を基調にしつつも淡茶、茶、赤茶、茶褐色など色調にバラエテイがあるが、それは胎土に含まれる鉄分の多寡、窯内の還元、酸化状態の強弱、さらに焼成温度により決定される。 この他、色調の決定に関わる要因としては、 ⑥1100℃程の高温では圧力が高まり窯内は還元雰囲気となる。 ⑦冷却時間が長い程鉄の結晶が促進され、還元冷却では黒味を帯びる。 ⑧燃料の薪にも鉄分が含まれ、特に赤松の場合は多く約3.4%程含まれ、色調に大きな影響を与える。 実験により焼成と色調の関係は以上のように確認されたが、問題は実際の焼成技術である。そこで韓国での窯焚き実験を経て、特に還元効果を明らかに出すためには冷却段階における窯の密閉性を高めかつ維持する必要があり、その操作には酸化冷却よりもかなりの神経を使うことが理解された。還元焔焼成技術の方が酸化焔技術よりも難しいのである。 したがって、古代の還元焔土器から中世の酸化焔陶器への転換の理由を技術の進歩という概念で理解することはできない。むしろ社会の要求、焼き物の色調に対する人々の好みの変化に対応したものと考えざるを得ない。 なお、本件究の成果は99年度日本考古学協会春の大会にて発表することが決まっており、報告書は2000年度の比較的早い時期に纏める計画で準備している。

古代における土器製作技術の研究

2003年度共同研究者:齋藤 正憲, 上野 幸彦

研究成果概要: 「古代における土器製作技術の研究」と題した本研究では、当該テーマに関する民族調査並びに土器焼成実験を中心に研究を進めてきた。以下、それぞれの進捗状況を報告し、かつ研究の総括を行なう。<民族調査> 民族調査については、2002年8... 「古代における土器製作技術の研究」と題した本研究では、当該テーマに関する民族調査並びに土器焼成実験を中心に研究を進めてきた。以下、それぞれの進捗状況を報告し、かつ研究の総括を行なう。<民族調査> 民族調査については、2002年8月に齋藤がエジプト、ダクラ・オアシスでの聞き取り調査を実施した。同オアシスでは、陶工10名からなる集約的な工房が営まれ、昇焔式窯による焼成が行なわれていた。土器焼成を実見し、かつ焼成温度を測定できたことは極めて有益であった。また聞き取り調査の結果、ダクラ・オアシスでの土器生産は季節的なものであることも確認された。この成果は早稲田大学エジプト学会が刊行する『エジプト学研究』第11号にて報告を行なった(齋藤他 2003)。 2003年8月には、佐々木と齋藤がエジプト、シーワ・オアシスで同様の民族調査を実施した。ダクラ・オアシスとは対照的に、シーワ・オアシスでは、女性による家内生産として土器が製作される。轆轤や回転台を用いることなく、手捏ねで作り出される土器は、野焼きにより焼成される。世界各地に残された民族例を紐解くまでもなく、胎土、成形技法、焼成方法、生産形態の全ての点においてシーワ・オアシスの土器つくりは単純なものであり、土器製作技術の源流を探る上で不可欠な情報を取得できたものと考えたい。同調査については『エジプト学研究』第12号にて成果を報告する予定である(齋藤他 2004)。 2002年10月には佐々木と齋藤が九州(唐津・有田)への比較調査へ出かけた。同地では日韓陶土器の交流という視点から古代の出土土器とともに、16世紀後半の資料を観察する機会に恵まれた。16世紀後半の資料からは韓国陶磁器の影響を直接的に受けつつ、有田焼(伊万里焼)が成立する状況が確認された。 2004年3月には佐々木による韓国・済州島での民族調査も計画されている。同地では叩き技法により、無釉で焼締の土器の製作されており、古代東アジアにおける日常雑記としての土器製作技術の一旦を垣間みることができるであろう。<土器焼成実験> 佐々木は、須恵器焼成実験を整理し、特にこれまでの成果を整理することに力を注いだ。特にその成果については、釜山市立博物館のシンポジウムに招かれ、発表を行なった(佐々木 2003a)。 齋藤はエジプト新王国時代の試料について、再焼成実験を行ない、焼成温度の確定につとめた。古代エジプトでは、ナイル・シルトとマール・クレイという2種の粘土を用いて土器をつくっているが、再焼成実験の結果、ナイル・シルトでは900℃、マール・クレイでは1100℃前後という焼成温度を得た。既往研究でも両胎土の焼成温度は異なることが推測されており、それを追証する形になったが、一方で、具体的な焼成温度域については見解にばらつきがあり、本研究の成果が一定の方向性を示したことは確実である。この成果については、第8回西アジア考古学会で発表し(齋藤 2003a)、かつ同学会機関誌上に掲載される予定である(齋藤 2004)。<シンポジウムの開催> また、上述の成果を報告し、さらには世界的な視座に立ち評価していくために、土器製作技術ついての研究を進めている内外の研究者を招き、2003年11月22日、早稲田大学にてシンポジウム『世界の土器つくり-土器製作技術の民族考古学、実験考古学-』を開催した。 佐々木ならびに齋藤が報告を行なった(佐々木 2003b, 2003b)ほか、以下のような研究発表が行なわれた。  寺崎秀一郎(早稲田大学)<ホンジュラス>   「南東マヤ地域における土器製作に関する民族考古学的研究の現状」  小澤正人(成城大学)<中国>   「中国先史時代の土器製作技術」  余語琢磨(自治医科大学)<インドネシア>   「バリ島の土器つくり―諸生産地にみる技法の多様性を読み解く―」  小磯学(東海大学)<インド>   「インド北部の土器つくり」  常木晃(筑波大学)<シリア>   「現代シリアの土器工房」  (本シンポジウムの成果については、体裁を整えて正式な報告書を刊行する予定である。)<総括> 古代の土器製作技術の解明を意図し、特にアジアとアフリカ(エジプト)との比較研究を目標に掲げた本研究は一定の成果を挙げたものと確信する。佐々木の実験研究のノウハウを齋藤がエジプトの試料に応用することは一定の成果を挙げた。民族調査では、エジプトにおける民族誌的情報の着実な蓄積を行なうことができたとともに、韓国・済州島での成果も大いに期待されるところである。また特に、東アジアを専門とする佐々木がエジプトの民族調査に携わったことは、より広い視野に立つ土器製作技術の復原という形で今後結実するものと考える。さらには、世界の土器つくりに関するシンポジウムを開催できたことは、本研究の成果をより客観的に位置づけようとするとき、大きな意義を持つであろう。 一方で、今後の課題が多く確認されたことも、重要な成果である。民族調査では更なる情報の蓄積につとめるべきことが再認識された。また、そこで観察された様々な技術を実験により科学的に評価していく作業が求められる。さらには、北部九州における陶磁器生産の受容という新たな研究テーマも見いだすことができた。民族調査で得られた資料についての、実験的・科学的分析と併せて、今後の課題である。

海外研究活動

研究課題名: 日韓焼物交流と焼物文化の比較研究

2009年04月-2010年03月

機関: 釜山釜山大学校博物館(韓国)

現在担当している科目

科目名開講学部・研究科開講年度学期
ものづくりの技術論人間科学部2019夏季集中