氏名

コバヤシ ノブユキ

小林 信之

職名

教授 (https://researchmap.jp/read0020298/)

所属

(文化構想学部)

連絡先

URL等

WebページURL

http://www.f.waseda.jp/kobayashi/

研究者番号
30225528

本属以外の学内所属

兼担

研究院(研究機関)/附属機関・学校(グローバルエデュケーションセンター)

学歴・学位

学位

哲学博士 論文 ヴッパタール大学(ドイツ) 哲学・倫理学

経歴

1990年-1996年京都市立芸術大学美術学部 専任講師
1996年-2008年京都市立芸術大学美術学部 助教授
2008年-2009年早稲田大学文学学術院 文化構想学部 准教授
2009年-早稲田大学文学学術院 文化構想学部 教授

所属学協会

早稲田大学哲学会

美学会 委員

日本哲学会

京都哲学会

西田哲学会 幹事、理事

実存思想協会

映像学会

取材ガイド

カテゴリー
人文学
専門分野
美学、現代哲学、感性文化論
自己紹介コメント
もともとの専門は、哲学、とくに美学研究が中心でしたが、文化構想学部では、感性文化プログラムという研究領域を展開しています。私たちは、感覚を通じて色鮮やかな世界に開かれ、また感情によって他者と相互に交わります。そしてそのとき同時に、語りえないもの、言語化しえないものの感触をじかに感じ取るのです。私はそうした営みのうちに、哲学と文化研究が取り組むべきテーマの可能性を見定めています。
キーワード
現代芸術、物語の哲学、映画

研究分野

キーワード

美学(感性文化研究)、現代哲学

科研費分類

人文学 / 芸術学 / 美学・芸術諸学

人文学 / 哲学 / 哲学・倫理学

研究テーマ履歴

1993年-M・ハイデガーの芸術論

研究テーマのキーワード:芸術、テクノロジー、詩、存在論

個人研究

感性論としての美学

研究テーマのキーワード:美学、感性、芸術

個人研究

論文

ふれることについて—触覚の現象学

小林信之

早稲田大学大学院『文学研究科紀要』第60輯(第1分冊)p.21 - 362015年03月-

Zwei Betrachtungen über die Kunst und die Dichtung. Der Einklang zwischen Heidegger und Nishida.

小林信之

Heidegger-Jahrbuch 7. Heidegger und das ostasiatische Denken, Hrsg. Von Alfred Denker, Shunsuke Kadowaki, Ryôsuke Ôhashi, Georg Stenger, Holger Zaborowski.7p.402 - 4182013年09月-

在るてふことの不思議—場所と像

小林信之

日本哲学史フォーラム編『日本の哲学』第14号(特集: 近代日本哲学と論理)14p.29 - 442013年12月-

秋来ぬと風の音にぞ─アイステーシスと生活世界」、 NO. 1、2013、p.6-p.16.

小林信之

早稲田大学総合人文科学研究センター『WASEDA RILAS JOURNAL』1(1)p.6 - 162013年10月-

かぎろひの立つ見えて —「いまここ」の知覚風景

小林信之

感性文化研究所(East-West Center for Research into Culture and Aesthetics)『紀要』(7)p.1 - 182012年03月-

アイステーシス —感性論としての美学をめぐって

小林信之

東北大学大学院文学研究科 美学・西洋美術史研究室内・第62回美学会全国大会・実行委員会『たそがれフォーラム発表報告集』(電子版)p.1 - 132012年03月-

痛みについて

小林信之

感性文化研究所(East-West Center for Research into Culture and Aesthetics)『紀要』(6)p.35 - 582010年03月-

Die Kritik Heideggers an der Aesthetik und eine Andere Moeglichkeit des aesthetischen Denkens

小林信之

The Proceedings of the twenty-first World Congress of Philosophy vol.12 (Philosophical Trends in the XXth Century), Philosophical Society of Turkey, Ankarap.15 - 222007年-

美的仮象について

小林信之

京都市立芸術大学美術学部『研究紀要』(52)2008年04月-

時と像

小林信之

理想(680)p.59 - 712008年02月-

The Veil of Isis –on purity

小林信之

Nishida Philosophy and Esthetic Reflection (第33回三菱財団人文科学研究助成「比較思想的観点に基づく近代日本美学思想・芸術理論の基礎研究」研究成果報告書)p.60 - 762005年-

Welt als Spiegelbild −Zur „poietischen“ Besinnung Kitaro Nishidas

小林信之

Selected Papers of the 15th International Congress of Aesthetics, published by The Organizing Committee of the 15th International Congress of Aesthetics, Tokyop.160 - 1672003年-

デモンの系譜—シミュラークル論(3)

小林信之

京都市立芸術大学美術学部『研究紀要』(50)p.33 - 402006年04月-

西田哲学と美学的省察

小林信之

第33回三菱財団人文科学研究助成「比較思想的観点に基づく近代日本美学思想・芸術理論の基礎研究」研究成果報告書p.1 - 772005年03月-

場所と像

小林信之

『四大の感性論—思想・アート・自然科学の関わりについての基盤研究』平成13-16年度科学研究費補助金(基盤研究A1)研究成果報告書p.129 - 1482005年03月-

デモンの系譜—シミュラークル論(2)

小林信之

京都市立芸術大学美術学部『研究紀要』(49)p.57 - 642005年04月-

イシスのヴェール—純粋性をめぐって」『』第2号、2005、p.60.-p.79.

小林信之

西田哲学会年報(2)p.60 - 792005年-

わたしは聖母マリアです—創造の論理

小林信之

(44)2004年-

デモンの系譜—シミュラークル論(1)

小林信之

京都市立芸術大学美術学部『研究紀要』(48)p.57 - 662004年04月-

影像論

小林信之

京都市立芸術大学 美学文化理論研究会編『影像の美学』(「天門」002号)(2)p.66 - 772000年-

個・あいだ・場所—ハイデガー・和辻・西田の思索から

小林信之

京都市立芸術大学美術学部『研究紀要』(46)p.1 - 152002年04月-

Kunst als Spiel -Zur Auseinandersetzung Hiedeggers mit Nietzsche

小林信之

Bulletin of Kyoto City University of Arts(Nr.45)p.25 - 492001年04月-

芸術とテクノロジーをめぐる思索—ハイデガーの技術論から (Kunst und Technologie im Denken M.Heideggers)

小林信之

京都市立芸術大学美術学部『研究紀要』(44)p.43 - 522000年04月-

ハイデガーのニーチェ解釈

小林信之

京都市立芸術大学美術学部『研究紀要』(43)p.53 - 781999年04月-

ハイデガーと美への問い—無関心性をめぐって

小林信之

美学(193)p.1 - 121998年-

Sprache und Dichtung - aus der japanischen Erfahrung

Bulletin of Kyoto City University of Arts(Nr.41)p.41 - 601997年03月-

Die Kunstauffassung im Denken M.Heideggers

小林信之

Bulletin of Kyoto City University of Arts(Nr.40)p.55 - 691996年03月-

イメージの解釈学への序論—ガダマーの視点から

小林信之

平成6-7年度科学研究補助金(総合研究A)研究成果報告書『想像力—その評価をめぐる比較美学的考察』p.65 - 731996年03月-

感性の現在—ポストモダンの風景

小林信之

理想(656)p.106 - 1151995年-

空間と都市—シークエンスの概念を中心に

小林信之

京都市立芸術大学美術学部『研究紀要』(39)p.11 - 211995年04月-

Das dichterische Wesen der Sprache im Denken M.Heideggers

Aesthetics (edited and published by the japanese society for aesthetics)(Nr.6)p.87 - 981994年-

Heideggers Begriff der "Stimmung"

小林信之

『〈感性的認識の学〉としての Aesthetik の可能性とその系譜』平成3-4年度科学研究補助金(総合研究A・研究代表者 岩城見一)研究成果報告書p.19 - 291994年04月-

ハイデガーの芸術論-その批判的考察

小林信之

京都市立芸術大学美術学部「研究紀要」 (大学・研究所等紀要 、1994 ) / 38 , 15-30(38)p.15 - 301994年-

新しさの神話(承前)-或いはデュシャンの沈黙について

小林信之

京都市立芸術大学美術学部「研究紀要」(36)p.53 - 661991年-

詩作と言葉-M・ハイデガーに即して

小林信之

美学42(1)p.36 - 471991年-

新しさの神話-現代芸術のために?

小林信之

京都市立芸術大学美術学部「研究紀要」(35)p.43 - 541989年-

ハイデガーの真理論-真理と芸術

小林信之

京都大学文学部美学美術史学研究室「研究紀要」(10)p.91 - 1281989年-

芸術と空間-M・ハイデガーに即して

小林信之

美学38(4)p.13 - 241988年-

作品と世界-M・ハイデガーに即して

小林信之

京都大学文学部美学美術史学研究室「研究紀要」 (大学・研究所等紀要 、1986 ) /(7)p.59 - 881986年-

書籍等出版物

Heidegger und die Kunst -im Zusammenhang mit dem Aesthetikverstaendnis in der japanischen Kultur

Nobuyuki Kobayashi

edition chora, Koeln2003年 05月-

詳細

ISBN:3-934977-07-3

Der Raum der Stadt –Raumtheorien zwischen Architektur, Soziologie, Kunst und Philosophie in Japan und im Westen.

Nobuyuki Kobayashi (共著)

Jonas Verlag2008年 05月-

詳細

ISBN:978-3-89445-398-5

Komparative Aesthetik. -Kuenste und aesthetische Erfahrung zwischen Asien und Europa

Nobuyuki Kobayashi(共著)

edition chora, Koeln2000年-

詳細

ISBN:3934977030

Komparative Ethik

Nobuyuki Kobayashi(共著)

edition chora, Koeln2002年-

芸術学の射程

小林信之(共著)

勁草書房1995年-

詳細

ISBN:4326848375

ハイデッガーを学ぶ人のために

小林信之(共著)

世界思想社1994年-

詳細

ISBN:4790705285

Translation und Interpretation (Schriften der Academie du Midi Bd.V)

Nobuyuki Kobayashi(共著)

Wilhelm Fink Verlag Muenchen1999年-

京都学派の思想—種々の像と思想のポテンシャル

小林信之(共著)

人文書院2004年-

詳細

ISBN:4409040634

アイステーシス—21世紀の美学にむけて

小林信之(共著)

行路社2001年-

詳細

ISBN:4875347227

感性論

小林信之(共著)

晃洋書房1997年-

詳細

ISBN:4771009198

芸術の線分たち

小林信之(共著)

昭和堂1988年-

国立新美術館編・野村仁—変化する相

小林信之(共著)

国立新美術館2009年 05月-

ハイデガー読本

小林信之(共著)

法政大学出版局、20142014年 11月-

詳細

ISBN:978-4-588-15070-8

講演・口頭発表等

棺一基四顧茫々と—情態性/エポケー/詩

ハイデガー・フォーラム第八回大会2013年09月21日

詳細

口頭発表(一般)

藤なみの影もうつらず —場所/像/死

第24回日本哲学史フォーラム2012年12月15日

詳細

口頭発表(一般)

秋来ぬと風の音にぞ —アイステーシス/生活世界/時間性

美学会東部会例会2012年07月07日

詳細

口頭発表(一般)

「場所」の思想と日本文化における空間造形—庭園芸術を例に

ベルリン日独センター&チューリッヒ造形芸術大学主催シンポジウム テーマ: 都市の空間—日本と西欧の建築・社会学・芸術・哲学における空間理論から2006年10月

詳細

口頭発表(一般)

さゞ波も奇しき—後期西田哲学におけるポイエシスと歴史

第255回美学会西部会主催シンポジウム テーマ「芸術の場所」(大阪大学中ノ島センター)2005年10月

詳細

口頭発表(一般)

イシスのヴェール—前期西田哲学と美的経験

西田哲学会第2回年次大会シンポジウム テーマ「純粋経験」(上智大学)2004年07月

詳細

口頭発表(一般)

対話の可能性と不可能性--ハイデガー「ある日本人との対話」を出発点にして

公開講演会 主催:京都大学大学院文学研究科21世紀COEプログラム、グローバル化時代の多元的人文学の拠点形成、「新たな対話的探求の論理の構築」研究会(会場:京都大学文学部)2003年12月

詳細

口頭発表(一般)

美的仮象について

第54回美学会全国大会(成城大学)2003年10月

詳細

口頭発表(一般)

死と影

第14回国際シンポジウム(フランス、アレ・レ・バン) 、主催: アカデミー・デュ・ミディ2002年05月

詳細

口頭発表(一般)

倫理の間文化(インタカルチャー)的基礎としての「あいだ」について

第13回国際シンポジウム(フランス、アレ・レ・バン) Ethik in Ost und West、主催: アカデミー・デュ・ミディ2001年06月

詳細

口頭発表(一般)

影像の美学

シンポジウム「影像の美学」(京都市立芸術大学大学会館)美学文化理論研究会主催1999年12月

詳細

口頭発表(一般)

芸術とテクノロジー—M・ハイデガーの技術論をめぐって

第50回美学会全国大会(金沢美術工芸大学)1999年10月

詳細

口頭発表(一般)

影像に関する美学的考察—日本文化のパースペクティヴから(Eine ästhetische Besinnung über den „Schatten“ aus japanischer Perspektive)

第11回国際シンポジウム(フランス、アレ・レ・バン)「東西の美学」、主催: アカデミー・デュ・ミディ1999年05月

詳細

口頭発表(一般)

芸術とテクノロジー

第8回日本学術会議哲学系公開シンポジウム(東京)「転換期における人間」、主催: 日本学術会議哲学研究連絡委員会

詳細

口頭発表(一般)

文化の相互理解可能性としての「対話」(Das Gespräch als Möglichkeit für interkulturelles Verständnis)

第9回国際シンポジウム(ポルトガル、コビリャン)「解釈と翻訳」、主催アカデミー・デュ・ミディ1997年05月

詳細

口頭発表(一般)

意志と放下—ハイデガーのニーチェ解釈をめぐって

第212回美学会西部会(京都造形芸術大学)1997年02月

詳細

口頭発表(一般)

空間と都市—シークエンスの概念を中心に

日本建築学会近畿支部主催シンポジウム「都市空間のシークエンスによる演出」(大阪大学工業会館)

詳細

口頭発表(一般)

現代における思索と芸術

実存思想協会・ドイツ観念論研究会共催 ハイデッガー・シンポジウム(早稲田大学)

詳細

口頭発表(一般)

詩作と言葉—M・ハイデガーに即して

第41回美学会全国大会(広島国際会議場)1990年10月

詳細

口頭発表(一般)

芸術と空間—M・ハイデガーに即して

第166回美学会西部会(京都市立芸術大学)1988年12月

詳細

口頭発表(一般)

外部研究資金

科学研究費採択状況

研究種別:

近代日本の美学芸術理論の総合研究―間文化性の視点から

2014年-0月-2017年-0月

配分額:¥3120000

研究種別:

アジア的美意識とは何か

配分額:¥18530000

研究種別:

美的・感性的経験の真理性の問題-ニーチェ、ハイデガーおよび現代解釈学の視点から

配分額:¥3700000

研究種別:

M.ハイデガ-の芸術論

配分額:¥900000

研究種別:

アイステーシスの経験と公共性―倫理的なものと美学との相関性をめぐる基礎研究

2017年-0月-2020年-0月

配分額:¥2860000

研究資金の受入れ状況

実施形態:共同研究

平成18-21年度(2006-9年度)科学研究費補助金(基盤研究B)に基づく共同研究 研究課題「アジア的美意識とは何か」(研究代表者 神林恒道・立命館大学教授)2006年-2009年

実施形態:共同研究

平成17-19年度(2005-7年度)科学研究費補助金(基盤研究A)に基づく共同研究 研究課題「醜と排除の感性論」(研究代表者 宇佐美文理・京都大学教授)2005年-2007年

実施形態:共同研究

日本文化における空間概念をテーマとする芸術企画プロジェクト〈 city_space_transitions 〉(2004年度から2006年度まで、チューリッヒ芸術大学の芸術理論研究所における共同研究。スイス政府より助成)2004年-2006年

実施形態:共同研究

平成15-17年度(2003-2005年度)独立行政法人科学技術振興機構(特定非営利活動法人エコデザインネットワーク)の共同研究 研究課題「既存都市・近郊自然の循環型再生大阪モデル」(研究代表者 池上俊郎京都市立芸術大学教授)2003年-2005年

実施形態:受託教育

平成16年度三菱財団による研究助成(総額2000千円)テーマは「比較思想的観点に基づく近代日本美学思想・芸術理論の基礎研究」(研究代表者 小林信之)2004年-2004年

実施形態:共同研究

平成13-16年度(2001-4年度)科学研究補助金(基盤研究A)に基づく共同研究 研究課題「四大(地・水・火・風)の感性論−思想・アート・自然科学のかかわりについての基盤研究−」(研究代表者 岩城見一)2001年-2004年

実施形態:共同研究

平成6,7年度(1994-5年度)科学研究補助金(総合研究A)に基づく共同研究 研究課題「想像力---その評価をめぐる比較美学的考察」(研究代表者 岩城見一)1994年-1995年

実施形態:共同研究

平成3,4年度(1991-92年度)科学研究補助金(総合研究A)に基づく共同研究 研究課題「感性的認識の学としての Aesthetik の可能性とその系譜」(研究代表者 岩城見一)1991年-1992年

学内研究制度

特定課題研究

公共性に対する美学的ないし感性論的諸問題の考究

2012年度

研究成果概要:本年度はとくに、感情や気分の問題に焦点を合わせた研究をおこなった。その枠組みのなかで、感情や気分の言語性・公共性と私秘性(つまり言語化不可能性、語りえぬもの)というテーマ、さらに語りえないものの表現としての美的ないし詩的表現の可能...本年度はとくに、感情や気分の問題に焦点を合わせた研究をおこなった。その枠組みのなかで、感情や気分の言語性・公共性と私秘性(つまり言語化不可能性、語りえぬもの)というテーマ、さらに語りえないものの表現としての美的ないし詩的表現の可能性について考察した。その際とくに、現象学におけるエポケー概念やハイデガーの情態性に関する分析を取りあげて解釈を加えた。 感情、情動、気分等々とわたしたちが通常名づけている事柄は、ハイデガーによって存在論的に「情態性」と規定されている。この本質規定の意味をいま一度問い直すことを起点に、それをエポケー概念との連関において検討しようと試みた。そこからさらに、「詩的言語」の問題にも議論を展開させたが、それは、詩的な語りの固有の目標が、情態性のさまざまな「実存論的可能性」を伝達すること(『存在と時間』SZ162)だからである。 一般に日常世界における気分や感情(たとえば「こわい」という感情)は、間主観的な共同世界における出来事として、公共的な言説によって分節化され理由づけられうるものと見なされる(「恐ろしい犬に出くわしたので、こわかった」等々)。つまり気分的・感情的に開示された世界は、すでに共同的・相互主観的世界であり、いわば「理由の空間」を前提している。したがってさまざまな気分や感情は、日常的なレベルでさまざまに名づけられ、共同的・間主観的な自己理解を伴いつつ言語的に分節化されているわけである。 だが、こうした日常的レベルでの気分・感情の分析に対してハイデガーは、「不安」や「退屈」の分析を対置し、それがある種公共的な自己理解を絶した、卓抜な開示性であることを明らかにする。つまりそれは、単独化された自己性の開示であり、公共的言語による分節化ではなく、固有で私秘的な自己存在の顕在化である。そしてそのような開示性から、詩や美的経験の可能性も開かれると考えられたのである。

〈場所〉の現象学的美学に関する基盤研究

2013年度

研究成果概要:「場所」概念を現象学的に掘り下げるにあたり、本年度はとりわけ西田幾多郎の哲学とハイデガーの「情態性」に関する議論を中心に考察した。そこからさらに、場所論を美学上の問題として展開する論考も公表した。まとめると、研究成果は下記の項目に...「場所」概念を現象学的に掘り下げるにあたり、本年度はとりわけ西田幾多郎の哲学とハイデガーの「情態性」に関する議論を中心に考察した。そこからさらに、場所論を美学上の問題として展開する論考も公表した。まとめると、研究成果は下記の項目に集約される。1.アイステーシス(美的・感性的働き)がわたしたちの日常的生活世界という「場所」において、どのように作動し、どのような意味をもちうるか、について。フッサールにはじまるエポケーの概念を再考すると同時に、それをよりラディカルに継承したハイデガーの「不安」概念を検討した。わたしたちの知覚経験は、たとえば風の音という「もの」のたち現れを聴き取る「気づき」の経験である。しかも、ものの現れは単独の孤立した現象ではなく、相互に連関しあったさまざまな意味の網目を構成し、わたしたちの生きる日常世界を指示している。世界は、わたしたちとものの出会いに先立って、意味の地平としてすでに開示されていなければならない。そしてそこからさらに、この世界を世界として可能にしている時間性が、たとえば「秋」という季節のおとづれの内に気づかれる(驚かれる)のである。 本論は、このように現象学的探求のなかで得られた世界概念とその構造への問いを遡及的に問い、そこから場所論へと展開する可能性を探求した。その際導きの糸となったのは、風の音に「驚く」というアイステーシスの経験であり、したがって本研究は広い意味での美学研究に位置づけることができる。研究成果は、早稲田大学総合人文科学研究センター『WASEDA RILAS JOURNAL』 NO. 1に公表した。2.西田幾多郎の場所論の考察。西田の場所概念と、その美学的展開可能性について検討した。その際、西欧において歴史的に形成された美学理論を相対化すると同時に、東アジア的世界に目をむける必然性に留意した。研究成果は、『日本の哲学』第14号に公表した。3.ハイデガーの情態性論を、とくにエポケー概念との連関において考察した。研究成果は、2013年9月におこなわれた学会(ハイデガー・フォーラム、於関西大学)にて公表した。

イメージと〈場所〉-芸術の時空間をめぐる美学的基礎研究

2008年度

研究成果概要:「イメージと〈場所〉」というテーマに関して、本年度はとくに「場所」としての環境と、「イメージ」としての生態学的デザインとの関係という観点に絞って美学的研究をおこなった。 従来の狭義のデザイン概念は、物の設計や建造物の設計など、物象...「イメージと〈場所〉」というテーマに関して、本年度はとくに「場所」としての環境と、「イメージ」としての生態学的デザインとの関係という観点に絞って美学的研究をおこなった。 従来の狭義のデザイン概念は、物の設計や建造物の設計など、物象化された客体的側面のデザインに限定されてきた。しかしながら場所的環境はさまざまな次元で複合的に分節化されており、それぞれの次元に呼応した細やかな企図が求められると同時に、たえず全体的な「場所」の布置が視野に収められねばならない。この意味で空間的・場所的企画(デザイン)という大きな構造をまず設定し、そのうえで個別的な設計がなされる必要がある。これは同時に、現在までの個別科学的な学問分野にもとづく蛸壺的な近代的構想とディスクールでは不可能なデザイン概念であり、認識論ないし存在論におけるラディカルな発想転換を要求すると同時に、学際的・横断的設計を前提とするものである。 さらに、以上のように規定されるデザインを社会内におけるあり方として見た場合、デザインとは、「作られるもの」と「そのものにかかわる側(使用者・消費者)」との間に介在し、構成していくひとつの感性的技術である、と定義できるのではなかろうか。そこにはすでに作られたものが既成の場所環境として規制的に働くと同時に、ユーザーや消費者の側も、個別の利用状況に応じて固有の仕方で既存のものを作り変えていく。このようにデザインとはそれ自体、モノとヒトとのあいだの文化的〈場所〉として成立しており、けっして固定的な形成作業に限定されるものではない。 こうした観点から従来のデザイン(製品・企図・環境構築)を見直してみるとき、デザインの生態学的・環境指向的方向において、感性レベルでの新たなデザインの創出を考えることができよう。それはつまり場所的感性に依拠したデザイン論であり、製品など客体的・物理的レベルでのデザインにとどまらず、いわば象徴的・表象的レベルにおいて、場所構築の一領域としてデザインを考えていくということである。本年度の研究では、その具体的なあり方までふくめ、研究を進展させることができた。

近代日本の思想形成と美学―比較思想的視点に基づく相対化の試み

2009年度

研究成果概要:本年度は日本文化における美意識や感受性の問題に関して、とりわけ現象学における知覚論を参考に研究をすすめた。 (1) メルロ=ポンティの知覚論・身体論と西田哲学とを批判的に対照し、たとえば「色彩」をめぐる問題について主題化した。 (...本年度は日本文化における美意識や感受性の問題に関して、とりわけ現象学における知覚論を参考に研究をすすめた。 (1) メルロ=ポンティの知覚論・身体論と西田哲学とを批判的に対照し、たとえば「色彩」をめぐる問題について主題化した。 (2) 上記の現象学的研究をふまえつつ、とくに詩的経験をテーマとする論文を執筆した。この論考は、2010年3月に西田幾多郎記念哲学館において開催された日独哲学交流シンポジウム「形象の言葉/形象を見る―東と西West-oestliche(s) Bildsprache/Bildsehen 」で公表され、論文として出版される予定である。(タイトルは「かぎろひの立つ見えて ―〈いまここ〉の知覚風景」)。 目で見ること、耳を澄ますことで、わたしたちの前に直接知覚の風景が立ち現れ、この知覚の働きが、あらゆる認識の源泉として、たえずそこへと立ち返るべきところであると見なされてきた。しかしながら、たとえば空の虹を考えてみると、虹は言語的・文化的に規定されているから(とくに日本語の世界においては)七色に見えるのか、それとも言語的・意味的分節化に先立って、何か一般的な知覚経験が成立しているのか、容易に答えることのできない問いがここで生じてくる。知覚と言葉をめぐるこうした問いに関して、日本語の詩の言葉に注目することで考察は展開された。 詩的経験とは、生活世界における日常性をエポケーへともたらし、それを新たなまなざしのもとに見つめることを可能にするが、そこで露わとなるのは、わたしたちの知覚の働きの(1)非人称性と(2)身体性である。この二点に関して、メルロ=ポンティの『知覚の現象学』、ハイデガーの言語論、西田幾多郎の場所論、三木清の「構想力論」を参照しつつ議論をすすめた。 結論的に総括すれば、わたしという主体の基底には、歴史的・言語的に媒介された非人称的な「身」の次元があり、それは、「あらゆる特殊な定位可能性を一般的な企投のうちにふくみこんだ、匿名の〈諸機能〉のシステム」(『知覚の現象学』)であるということ、このことが明らかとなった。

感性的経験と公共性について―他者性をめぐる美学的・倫理的考察

2010年度

研究成果概要: 感性的経験、とくに身体感覚と公共性をテーマとするに当たって、本年度は、「痛み」の問題に焦点を合わせて研究をおこなった。 痛みの問題は、哲学の議論においてもっとも私秘的なものの事例として頻繁にあつかわれてきた。たとえばウィトゲンシ... 感性的経験、とくに身体感覚と公共性をテーマとするに当たって、本年度は、「痛み」の問題に焦点を合わせて研究をおこなった。 痛みの問題は、哲学の議論においてもっとも私秘的なものの事例として頻繁にあつかわれてきた。たとえばウィトゲンシュタインも、『哲学探究』の私的言語批判の文脈において執拗に痛みの例をとりあげている。そうした議論において主張されるのは、痛みの概念が、言語的公共世界のなかで習得され理解されるようになってはじめてわたしたちは、たとえば歯痛を歯痛として感じることができるようになる、ということである。公共的・言語的に意味づけられ分節化された歯痛はいわば「文化的歯痛」であり、わたしたちの歴史の文脈においてさまざまに語られうるようになる。 しかしながら痛みを、わたしの一回的個別経験として眺めた場合、言語化された意味を越えてずれと差異をおびてたち現れてくる。このときわたしの痛みは、他者にとって、けっして共有されえず、たえず無根拠な暗がりにむけて解釈の錘鉛をたらさねばならないような何かである。いや、他者にとってばかりではなく、すでに一時間前のわたし自身の痛みでさえ、いまここのわたしには疎遠でありうる。いまここで耐えがたく感じられている歯痛は、一回的な経験であるといわざるをえないのである。 このように、痛みという感覚経験の事例において、公共性と私性、倫理社会的観点と美的観点、等を鋭く対比的に考察することができる。さらにまた両者の対照は、いっそう具体化していくと、痛みの感覚実質の共約不可能性と表現可能性、言語に媒介された公共性と言語化しえない感覚の剰余、それら相反する両項の逆説的な関係を問うことへと展開せざるをえない。そうした課題に関して、理論的・哲学的議論にとどまらず、具体的な「痛みのイメージ」をめぐって、いくつかの事例を検討した(グリューネヴァルトのイーゼンハイム祭壇画、ラオコーン像、フリーダ・カーロ、石内都の写真作品等)。 なお研究成果としては、『感性文化研究所紀要』no.6 に論文として掲載する予定である。

現在担当している科目

科目名開講学部・研究科開講年度学期
基礎講義 1文化構想学部2019春学期
基礎講義 2(再履)文化構想学部2019秋学期
美の諸相文化構想学部2019秋学期
美の諸相文学部2019秋学期
文化の哲学文化構想学部2019春クォーター
文化の哲学文学部2019春クォーター
複合文化論系演習(感性哲学)文化構想学部2019夏クォーター
感性文化ゼミ(現代の文化哲学) (春学期)文化構想学部2019春学期
感性文化ゼミ(現代の文化哲学) (秋学期)文化構想学部2019秋学期
美学2文化構想学部2019秋学期
美学2文学部2019秋学期
哲学演習(卒論)春学期(小林 信之)文学部2019春学期
哲学演習(卒論)秋学期(小林 信之)文学部2019秋学期
哲学研究指導3-1 M大学院文学研究科2019春学期
哲学研究指導3-2 M大学院文学研究科2019秋学期
哲学研究5大学院文学研究科2019春学期
哲学研究6大学院文学研究科2019秋学期
哲学演習3-1大学院文学研究科2019春学期
哲学演習3-2大学院文学研究科2019秋学期
哲学研究指導3-1 D大学院文学研究科2019春学期
哲学研究指導3-2 D大学院文学研究科2019秋学期

教育内容・方法の工夫

コンピュータ等による視聴覚教材の活用

詳細

概要:パワーポイントやインターネット等コンピュータを活用した授業を実施した。また美術展など、じっさいに芸術作品に触れる場において授業をおこなった。