セト ナオヒコ
教授
(文学部)
文学学術院(大学院文学研究科)
研究所員 2015年-2018年
研究所員 2014年-
研究所員 2018年-
-1978年 | 早稲田大学 文学部 フランス文学専修 |
-1987年 | 早稲田大学 文学研究科 フランス文学 |
-1987年 | その他(海外の大学等) 人文科学研究科 オック語文学語学研究課程 |
文学修士 論文 早稲田大学 ヨーロッパ文学
文学博士 論文 パリ第4大学(ソルボンヌ)
日本フランス語フランス文学会 学会誌編集委員
国際中世叙事詩学会 日本支部事務局長
国際アーサー王学会
国際オック語圏研究学会
日仏ギリシア・ローマ学会
西洋中世学会 設立準備委員
2019年06月- | 日本フランス語フランス文学会学会誌編集委員長 |
2009年05月
研究テーマのキーワード:トルバドゥール
個人研究
瀬戸直彦
早稲田大学大学院文学研究科紀要64p.1 - 132019年03月-
査読有り2019年03月-
瀬戸直彦
Etudes Francaise - 早稲田フランス語フランス文学論集25p.22 - 412018年03月-
瀬戸直彦
Actes de l'XIe congres de l'Association Internationala d'Estudis Occitans査読有りp.649 - 6592017年07月-
瀬戸直彦
早稲田大学大学院文学研究科紀要62p.171 - 1892017年03月-
瀬戸直彦
Etudes Francaises - 早稲田フランス語フランス文学論集23p.80 - 942016年03月-
ISSN:1340-3095
概要:トルバドゥールのN写本を中心に,写本における欄外挿画を検討してテクスト本文との関連を探った。
瀬戸直彦
早稲田大学大学院文学研究科紀要60-2p.33 - 462015年03月-
Naohiko Seto
Los que fan viure e treslusir l'occitan, actes du 10e congres de l'AIEO, Beziers, 12-19 juin 2011p.304 - 3122014年05月-2014年05月
瀬戸直彦
Etudes Francaises (早稲田フランス語フランス文学論集)21p.57 - 782014年03月-
瀬戸直彦
早稲田大学大学院文学研究科紀要58-2p.35 - 562013年03月-
瀬戸直彦
ヨーロッパ中世の時間意識(甚野尚志・益田朋幸編)p.143 - 1652012年05月-
Naohiko Seto
L'Occitanie invitee de l'Euregio. Liege 1981 - Aix-la-Chapelle 2008: Bilan et perspectives, Actes du 9e congres interational de l'AIEO, Aix-la-Chapelle, 24-31 aout 2008,Aachen, Shaker Verlagt.Ip.519 - 5312011年12月-
瀬戸直彦
流域(青山社)68p.14 - 212011年04月-
瀬戸直彦
早稲田大学大学院文学研究科紀要56(2)p.43 - 602011年02月-
瀬戸 直彦
早稲田大学大学院文学研究科紀要55(2)p.47 - 612010年02月-
Naohiko SETO
La France Latine (Universite de la Sorbonne- Paris IV/ Universite Rennes 2 Haute Bretagne)148p.125 - 1442009年06月-
瀬戸直彦
比較文学年誌(早稲田大学比較文学研究室)45p.1 - 202009年03月-
瀬戸直彦
早稲田大学大学院文学研究科紀要53-2p.85 - 992008年02月-
瀬戸直彦
Etudes Francaises (早稲田フランス語フランス文学論集)14p.1 - 332007年03月-
瀬戸直彦
比較文学年誌(早稲田大学比較文学研究室)43p.1 - 152007年03月-
瀬戸直彦
流域(青山社)57p.46 - 552006年01月-
瀬戸直彦
早稲田大学大学院文学研究科紀要50(2)p.5 - 332005年03月-
広島大学 (colloque du vocabulaire de l'ancien francais)2004年03月-
Etudes Francaises (早稲田フランス語フランス文学論集)11p.1 - 252004年03月-
Naohiko SETO
La France Latine (CEROC-Universite Paris-Sorbonne)138p.251 - 2702004年-
(日仏図書館情報学会)(於:日仏会館)2003年11月-
平成13−14年度科学研究費補助金研究成果報告書2003年03月-
7e congres international de l'Association Internationale d'Etudes Occitanes, Reggio Calabria-Messina2002年07月-
月刊『言語』(大修館書店)31:52002年05月-
早稲田大学図書館紀要49p.1 - 212002年04月-
Etudes Francaises (早稲田フランス語フランス文学論集)9p.91 - 1252002年04月-
比較文学年誌(早稲田大学比較文学研究室)372001年03月-
Les Lettres francaises212001年-
西洋中世史セミナー講演報告集(佐藤彰一編)/名古屋大学大学院西洋史学研究室2000年12月-
Etudes Françaises 早稲田大学フランス文学専修室t.7, pp.1-202000年03月-
La France Latine130, pp.159-171.p.159 - 1712000年-
早稲田フランス文学会春季大会1999年06月-
Actes de colloque : la poésie de langued'oc des troubadours à Mistral (17-19 décembre 1998)pp.212-2341999年-
colloque international organisé à l'occasion du cinquantenaire du CEROC consacré à la poésie de langue d'oc (・・・)1998年12月-
社会科学研究/アジア太平洋研究センター129,pp.139-1621998年12月-
新村猛先生追悼論文集pp.225-2361998年03月-
Lesser-Used Languages and Romance Linguistics on the occasion of the 30th anniversary of the founding of the SOCIETAS JAPONICA LINGUARUM ROMANICUM1997年04月-
早稲田大学大学院文学研究科紀要/大学院文学研究科41-21996年02月-
La France Latine/Universite de Paris-Sorbonne1211995年-
Naohiko SETO
Proceedings of the Seventh national Conference on Occitan language and Literature, 19th - 20th April 1994, Department of French, Royal Holloway, University of Londonp.34 - 461994年12月-
瀬戸直彦
社会科学討究(早稲田大学社会科学研究所)115p.307 - 3301994年03月-
瀬戸直彦
Etudes Francaises(早稲田フランス語フランス文学論集)(早稲田大学文学部)1p.1 - 221994年03月-
Naohiko Seto
La France Latine (Universite de Sorbonne)116p.27 - 581993年-
瀬戸直彦
ヨーロッパ文学研究(早稲田大学文学部)39p.27 - 401992年03月-
瀬戸直彦
社会科学討究(早稲田大学社会科学研究所)109p.233 - 2701992年03月-
瀬戸直彦
社会科学討究(早稲田大学社会科学研究所)105p.189 - 2271990年12月-
瀬戸直彦
社会科学討究(早稲田大学社会科学研究所)102p.275 - 3031989年07月-
瀬戸直彦
ヨーロッパ文学研究(早稲田大学文学部)36p.131 - 1451989年03月-
Naohiko Seto
these de doctorat de 3e cycle presentee a l'Universite Paris IV1987年01月-
Naohiko Seto
Etudes de langue et litterature francaises (日本フランス語フランス文学会)42p.1 - 221983年05月-
瀬戸直彦
早稲田大学大学院文学研究科紀要(別冊)8p.27 - 371981年03月-
ベルンハルト・ビショッフ
岩波書店2015年-
その他ISBN:978-4-00-061065-0
Naohiko Seto (分担執筆)
Actes du VIIIe congres de l'Association Internationale d'Etudes Occitanes, Bordeaux, 12-17 septembre 2005 (Presses Universitaires de Bordeaux), pp.339-353.2009年 09月-
ISBN:978-2-86781-576-8
瀬戸直彦
『フランス中世文学を学ぶ人のために』 (原野昇編,京都,世界思想社)(分担執筆)2007年 02月-
ISBN:978-4-7907-1229-9
瀬戸直彦
平成16−17年度科学研究費補助金研究成果報告書2006年 05月-
Naohiko SETO
Etudes de langue et de litterature medievales offerts a Peter T. Ricketts, Turnhout, Brepols(分担執筆)2005年 12月-
ISBN:2-503-51640-8
Naohiko SETO
Vocabulaire de l'ancien francais - Actes du Colloque de Hiroshima du 26 au 27 mars 2004 a l'Universite de Hiroshima, Keisuisha(分担執筆)2005年 07月-
ISBN:4-87440-888-5
Naohiko SETO
Scene, evolution, sort de la langue et de la litterature d'oc, Actes du septieme congres international de l'Association des Etudes Occitanes (Reggio Calabria- Messina, 7-13 juillet 2002), Roma, Viella, 2004, pp.661-674.(分担執筆)2004年-
瀬戸 直彦
大学書林2003年 01月-
ISBN:4-475-01590-1
Lesser-Used Languages and Romance Linguistics, edited by Tullio De Mauro and Shigeaki Sugeta, Roma, Bulzoni Editore(分担執筆)2002年-
ISBN:88-8319-789-5
Naohiko SETO
Proceedings of the Seventh National Conference on Occitan Language and Literature, 19th-20th April 1994(分担執筆)1994年 10月-
瀬戸直彦
Melanges de langue et de litterature du Moyen Age offerts a Teruo SATO(佐藤輝夫先生卒寿記念論文集)(分担執筆)1993年-
研究種別:
中世フランス写本テクスト学への電子データベースの応用2010年-0月-2013年-0月
配分額:¥2210000
研究種別:
写本テクスト学におけるヴァリアントの総合的研究-中世南仏抒情詩の場合配分額:¥3460000
研究種別:
写本テクスト学の構築に向けて-中世フランス抒情詩の諸相配分額:¥1400000
研究種別:
少数ロマンス語とロマンス言語学配分額:¥3100000
研究種別:
中世フランスのトルバドゥール,オジル・ド・カダルスの作品校訂と解釈にまつわる問題配分額:¥1100000
研究種別:
巻子本からコーデクスへ―「マルギナリア」を手がかりにして2016年-0月-2019年-0月
配分額:¥2600000
研究種別:
俗語版『秘中の秘』の伝播の研究―西欧中世における養生術の系譜2013年-0月-2016年-0月
配分額:¥2860000
研究種別:
フランス中世写本における欠損部分の研究―とくにオック語文献について2019年-0月-2022年-0月
配分額:¥2600000
2009年度
研究成果概要: 2009年度においては、中世フランス抒情詩における異本による異文を、マルカブリュ(12世紀前半)のテクストを中心にして考察する下準備を行った。 南仏語(オック語)によるトルバドゥールの作品は,30近い写本テクストにおいて伝えられ... 2009年度においては、中世フランス抒情詩における異本による異文を、マルカブリュ(12世紀前半)のテクストを中心にして考察する下準備を行った。 南仏語(オック語)によるトルバドゥールの作品は,30近い写本テクストにおいて伝えられているが、そのすべての作品は、ピーター・リケッツ教授(ロンドン大学名誉教授)の手により、Concordance de l'occitan medieval(COM)という電子テクストにまとめられた。きわめて便利な試みであるが、テクスト自体は既存の校訂版によっている。それらは校訂の方針もまちまちであり、各写本の読みは,それぞれの校訂版にある異文欄(apparat critique)によらなければならない。しかもその異文がどのような方針のもとに収録されているかは、各校訂版によって違いがあり、必ずしもその情報が正確でない場合がある。したがって、テクストを精緻に解釈するためには,どうしても写本そのものにあたらなくてはならない。リケッツ教授も、もちろんそのことに気づいており、COMの第4巻において、各写本の読みをすべて収録しようと計画しておられるが、規模の壮大さと資金の欠如のために、第4巻は頓挫したままである。 私は、マルカブリュという、内容的にも写本の言語の上でも、きわめて興味深いトルバドゥールについて、従来おこなわれてきた、その研究を概観し、今年度はとりあえず作品11(Belh m'es quan la rana chanta)をC写本のヴァージョンで読み解き、そのテクストの、他の写本によるテクストとの相違を検討してみた。2002年にイタリアで出版されたコロック(研究集会)において作品18を俎上にのぼせたが、本研究はその延長線上にあるものと自分自身ではとらえている。また、2009年には、マルカブリュの作品19につき、Le grondement de la montagne qui accouche d'une sourisというテーマにおいて、やはりC写本の他写本に比較して短いヴァージョンを校訂し、そのテクストについてC写本独自の部分を探ってみた。これは、パリ大学オック語文学研究所の紀要(La France Latine誌)に発表することができた。 今後は、マルカブリュのテクストについて、写本の独自の読みとその言語的な特性を、よりコーパスを拡大して考察し、テクストのさらなる深い読みに至ることを目的として、研究を進めていくつもりである。
2015年度
研究成果概要: 「俗語版『秘中の秘』の伝播の研究―西欧中世における養生術の系譜」という,私が代表者として携わっています科学研究費基盤研究(c)に関連して,『秘中の秘』における四季ごとの健康術と,「毒娘伝説」についての資料収集,ならびにルイ・モレ... 「俗語版『秘中の秘』の伝播の研究―西欧中世における養生術の系譜」という,私が代表者として携わっています科学研究費基盤研究(c)に関連して,『秘中の秘』における四季ごとの健康術と,「毒娘伝説」についての資料収集,ならびにルイ・モレリによる『大歴史辞典』の最も充実した版で本主題にかかわる記述も多数掲載している1759年版を購入することができました。このテーマについては,第11回のオック語オック文学研究学会で発表を行い,北フランスにおける14世紀の著述家ウスタシュ・デシャンの記した「疫病に罹らないための心得を説くバラッド」が,ペストの大流行という当時の世相のもとに『秘中の秘』以来の養生術の一種の集大成であるということを提示しました。
2017年度
研究成果概要: 本課題につき,2017年7月10日―15日に開催された,第12回オック語オック文学国際学会(アルビ,トゥールーズ大学シャンポリオン研究センター)で発表をおこなった。具体的には:1) トルバドゥール(中世南仏の抒情詩人)のジラウト... 本課題につき,2017年7月10日―15日に開催された,第12回オック語オック文学国際学会(アルビ,トゥールーズ大学シャンポリオン研究センター)で発表をおこなった。具体的には:1) トルバドゥール(中世南仏の抒情詩人)のジラウト・デ・ボルネーユ Giraut de Bornelh(1160-1200年頃に詩作)のLeu chansonet'e vil ではじまる一作品 (PC 242, 45) を題材にして,その解釈と校訂を示し,16以上ある写本の「読み」をどのように勘案して本文テクストとして確定すべきかという問題を提示した。底本としては私が以前から研究の対象にしているフランス国立図書館fr. 856写本を選んだ。2) 現在ニューヨークのピアポント・モーガン・ライブラリーに保存されているN写本の欄外に描かれた挿絵とテクストとの関連をしめした。3) この詩人の全作品は,これまでアドルフ・コルゼン(2巻,1910-1935年)と,ルース・シャーマン(1989年)により校訂版が作成されている。これらの業績の内容を確認し,じっさいにこの作品においてどのような方針で本文を作成しているかを詳細に検討し,私なりの新たな方向を提示してみた。 また仏文の機関誌Etudes Francaisesにおいて,作品中に比喩として使われる「アササン」assassinという語彙にかんして,その初出を中世ラテン語,古オック語,オイル語において検討する論文を執筆した。
2018年度
研究成果概要:2017年7月にトゥールーズ大学 (Institut National Universitaire Champollion (アルビ))で開催された第12回国際オック語オック文学研究学会において,12世紀のトルバドゥールであるジラ...2017年7月にトゥールーズ大学 (Institut National Universitaire Champollion (アルビ))で開催された第12回国際オック語オック文学研究学会において,12世紀のトルバドゥールであるジラウト・デ・ボルネーユの一作品における解釈と校訂を軸に研究発表を行いました。Leu chansonet' e vil で始まる第45作品を詳細に検討し,1910-1935年のコルゼン版と1989年のシャーマン版を俎上にのぼせて,従来の校訂版の問題点をあきらかにしました。また本文テクストの選択と詩節の順番という問題にかんして,この第45作品におけるある程度の解答を用意して,ジラウト・デ・ボルネーユという難解な作者の文体の秘密に多少とも迫ってみました。この発表は,査読された上で,2019年中に刊行される論文集に掲載が決まりましたが,査読委員の,トゥールーズ大学のドミニック・ビイイ教授(旧知の方です)と頻繁にやり取りを行うことができました。2018年度はまた,写本(コーデクス)の成立という本研究課題にかんして,ジラウト・デ・ボルネーユ以外に,南仏において13世紀後半に記されたらしい『フラメンカ』という物語について研究を行うことができました。8000行以上におよぶ長い物語です。これは内容的にもきわめて興味深いものですが,写本はひとつしか残らず,それが冒頭と巻末を欠いており,途中にも脱落があります。とくに途中の脱落と,伝承過程における一部の抹消部分について研究を進めてみました。それが大学院の紀要にしるした論文です。
1995年度
研究成果概要: 1994年度は在外研究の機会にめぐまれ,以前よりてがけていたトルバドゥールの校訂の仕事が多少とも進んだ,すなわち中世の抒情詩人フォルケ・ド・マルセイユ(フォルケット・デ・マルセリャ)のイタリア写本を筆写し,パリではInstit... 1994年度は在外研究の機会にめぐまれ,以前よりてがけていたトルバドゥールの校訂の仕事が多少とも進んだ,すなわち中世の抒情詩人フォルケ・ド・マルセイユ(フォルケット・デ・マルセリャ)のイタリア写本を筆写し,パリではInstitut de Recherchre et d'Histoire de Textesやフランス国立図書館に通って,中世韻文作品の校訂の現状を知ることができた。 95年度には,前年度に得た資料や情報によって,あらたに写本のマイクロフィルムを入手し,また在外研究期間中に学んだイタリアでの,フランス中世抒情詩にかんする研究を整理し,校訂の作業にあらたにとりかかることができた。この作業は現在も続けているが,これまでなされ,また,つぎつぎになされつつある,ほかの研究者による研究の整理をおこない,自分の仕事にあらたな方向づけを与えることを,ひとつの課題とすれば,じっさいに数十存在する写本の校合を続けることはまたおのずから別の課題であるといえる。自分にとっては,この二つの課題は,研究の両輪と考えている。 前者については,パリ第4大学の研究誌に,従来よりわたしの研究対象にしてきたC写本(B.N.F. fondsfrancais 856)の研究とフォルケ・ド・マルセイユの関係をまとめて整理してみた。また,写本校合の過程で判明してきた a写本(フィレンツェ,リッカルディアナ図書館2814とモデナ,エステンセ図書館,Campori,N.8.4; 11, 12, 13に収録されている)の写字生の,原本をしるすにさいしての態度,そしてそれがCの写字生と対照的なことを主題にして,『新村猛先生追悼論文集』(96年末刊行予定)に一文をしるしてみた。 後者については,『大学院文学研究科紀要』に,じっさいの校訂の例として,フォルケの十字軍歌を選び,あわせて校訂の問題点をまとめて,自分なりの校訂の基準(principes d'edition)をしめし,批判をあおぎたいと考えている。
1996年度
研究成果概要: 1231年にトゥールーズの司教として没したこの詩人についての校訂を目標にしているわけだが、具体的にはつぎの二つの方向を見据えながら研究をすすめた。すなわち: (1)ほかの研究者による校訂を調べ、方法論を模索すること (2)じっさ... 1231年にトゥールーズの司教として没したこの詩人についての校訂を目標にしているわけだが、具体的にはつぎの二つの方向を見据えながら研究をすすめた。すなわち: (1)ほかの研究者による校訂を調べ、方法論を模索すること (2)じっさいに数十ある写本を校合すること 今年度は事実上前者の方向を探るのが主になった。というのは、4月に、『文学研究科紀要』に載せた論文において、フォルケ・デ・マルセイユの詩を、いわば見本として一つ選びC写本をもとに校訂し、注釈をほどこしてみたところ、なぜC写本に固執するのかという疑義が寄せられたからである(たとえばFreie Universitat のAngelica Rieger教授)。自分としては、すでにこの写本の性格についてはある程度論じていたので(たとえば95年の《Le chansonnier C et le troubadour Folquet de Marseille》in La France Latine において)、十分な説得力をもっているかと思っていたのだが、やはり問題は残るのかもしれない。つまりCにしか収録されていない作品は別にして、ほかのヨリ古いイタリア写本(ヴァティカンのA写本-13世紀末、モデナのD写本-1254年)のほうが、底本には適しているのではないかというのである。CやRは、13世紀末から14世紀初めのラングドック地方で作られたと推定される写本で、多かれ少なかれアルビ十字軍以降の、南仏の政治情勢をただよわせたテクストといえる。 それでは、イタリアに残されたテクストのほうが、トルバドゥールの作品を忠実に伝える度合が多いか、多いとしたらいかなる点においてか、といった問題にとりくむ必要があった。そのためには、別の詩人のテクストをも検討し、Cとの差異を比較しなくてはならない。そこで初期のトルバドゥールであるマルカブリュとジャウフレ・リュデルのいくつかの詩を爼上にのせてみた。マルカブリュの作品については、97年4月の日本ロマンス語学会の30周年記念シンポジウムで発表する予定、ジャウフレ・リュデルのほうについては別の機会にあきらかにしたいと考えている。
1997年度
研究成果概要:中世フランス抒情詩のオック語写本について、フォルテ・デ・マルセイユの校訂をC写本を底本として実現するという作業を通じて、その性格をさぐるのが私の久しい前からのテーマである。 本年度は、まず4月末のロマンス言語学にかんするシンポジウ...中世フランス抒情詩のオック語写本について、フォルテ・デ・マルセイユの校訂をC写本を底本として実現するという作業を通じて、その性格をさぐるのが私の久しい前からのテーマである。 本年度は、まず4月末のロマンス言語学にかんするシンポジウムで、12世紀の詩人マルカブリュの一作品(PC, 293-18)をもとに、C写本と他の写本の提供するテクストの相違を検討してみた。従来じゅうぶんな形で活字にされることのなかったCによる本文は、他写本のしめすものに10近い詩節を加えて、かなりきわどい、それだけに解釈の困難な詩行となっている。この写本の編纂者(写字生)の面目躍如といった感があって、その饒舌な(原テクストに自由に付加するという)側面を照射できたのではないかと思う。 つぎに、やはり古典期にぞくするトルバドゥール、ジャウフレ・リュデルの作品(PC, 262-1)について、文学研究科の紀要にしるした論文で考えてみた。Cとe(=Mh2)という2写本により伝えられる詩であり、内容に不可解なところがあるため従来のアンソロジーには採られてこなかったものである。さて、Cはこの作品末尾の第6・7詩節を収録していない。なぜだろうか。これはやはりCの編纂者の性格によるのではないか、というのが、私の結論で、以前ギレーム9世の作品について云々したときにも指摘した、その合理主義者としての削除の結果だと考えられる。自分にとって難解な部分は訂正してしまうか、それができないときは、ばさりと切って捨てる態度である。この論文のなかでは、この作品がもともとアベラールとエロイーズの伝説を想起しつつ書かれたのではないか、という私なりの解釈もしめしておいた。なお、C写本のこのような性格(やたらに長くする傾向と、難解の箇所を切って縮める傾向)については、98年3月に出版された『新村猛先生追悼文集』で、Cとaの写字生のメンタリティ(心性)の比較という観点からも検討してみた。参照されたい。研究成果の発表1998.3 「ジャウフレ・リュデルの「災厄の記」―第4歌の一解釈」、in『早稲田大学大学院文学研究科紀要』、t, 43-2, 1997. pp.25-44.1998.3 「寡黙の饒舌―中世南仏の二人の写字生」、in『新村猛先生追悼論文集』、1998. pp.225-236.1998(予定) 《Fals'amor de Marcabru selon un chansonnier occitan (PC.293-18)》,in Lesser-Used Languages and Romance Linguistics, Roma, Einaudi.
1998年度
研究成果概要: 1998年度には前年度より研究を進めてきた、12世紀のトルバドゥール、ジャウフレ・リュデルの第4歌の解釈を、M〈SUP〉h2〈/SUP〉というマドリッドの写本をもとに、新たな視点から行ったものを紀要に発表した。Cとeという2伝本... 1998年度には前年度より研究を進めてきた、12世紀のトルバドゥール、ジャウフレ・リュデルの第4歌の解釈を、M〈SUP〉h2〈/SUP〉というマドリッドの写本をもとに、新たな視点から行ったものを紀要に発表した。Cとeという2伝本を折衷した従来の読みをあらため、後者が、詩節の構成と数から作者のオリジナルに近いであろうこと、そして、この作品が、同時代の《スキャンダル》であったアベラールとエロイーズの恋愛事件に想をえているのではないかという仮説を提示してみたのである。そして、その後の研究成果も踏まえて、e写本を底本にしたテクストを作り、12月にパリ大学(ソルボンヌ)中世研究所50周年記念コロックで、その骨子を発表した。そのさい、ジュネーヴ大学のペルージ教授から、eの読みでは弱い点をいくつか指摘された。長年の懸案であるフォルケ・デ・マルセイユの校訂には、まだなかなか本格的な取り組みができないでいるが、C写本の読みをこうして、すこしづつ外堀から埋めるようなかたちで、浮き彫りにしていければと思っている。 またロマンス語文献学の研究の上で、イタリア学派と称するべき写本校訂への一傾向(上記のペルージ教授も現在ではその代表者のひとりである)の、これまでに果たしてきた役割をまとめてみた。これは結果的に、トリノ大学のダルコ・スィルヴィオ・アヴァッレによる抒情詩の写本に関する総合的な研究(1961年、第2版1992年)の批判的な紹介ということになった。イタリア学派の特色は、現存する複数の写本の読みを、ラハマン法を用いて系統樹を作って重ね合わせ、祖本にさかのぼるところにある。推論に推論を重ねて「原作」に肉薄するその方法は、第2次大戦前のドイツの文献学の衣鉢を継ぐものだが、テクスト校訂上の一写本優先の方法(1929年以降のベディエの方法を基本とするフランス学派と、それに追随するイギリス・アメリカの研究者たちの方法)の対極をなすものである。
1999年度
研究成果概要: 従来より進めてきた、中世の南仏抒情詩の校訂にかんする私の研究は、(1)フォルケ・ド・マルセイユ(-1231)のC写本による校訂、(2)30に及ぶ詞華集の構成と収める作品の性質の概観、(3)C写本によるトルバドゥールのアンソロジー... 従来より進めてきた、中世の南仏抒情詩の校訂にかんする私の研究は、(1)フォルケ・ド・マルセイユ(-1231)のC写本による校訂、(2)30に及ぶ詞華集の構成と収める作品の性質の概観、(3)C写本によるトルバドゥールのアンソロジーの作成、という三つの柱をもとにしていた。そのために、各詞華集のマイクロフィルムを、所蔵する図書館からとりよせたり、19世紀以来の文献学による基礎研究の収集と紹介につとめてきた。98年12月のソルボンヌでのコロックでは、これまで顧みられなかったヴァリアントを考慮に入れることで、ジャウフレ・リュデルという詩人の一作品とアベラール・エロイーズ伝説の関連について発表し、とくにイタリア学派(新ラハマン法と呼ばれる、作者による原作の推定法を用いる)に属するペルージ教授の批判を仰ぐことができた。(1)については、したがって、なお方法論の確定に時間を要すると思われるが、(2)と(3)にかんしては、C写本とをもとにした、日本語による詞華集の作成作業を、99年度中にかなり進めることができたと思う。また(4)として、これも基礎作業ではあるが、西欧中世の古文書学にかんして、ビショッフの概説書の翻訳を行い、2000年度中にまとめて出版するつもりである。
2000年度
研究成果概要: 今年度は、トルバドゥールのC写本をもとにしたアンソロジーの作成を第一の目標としてきたが、さいわい下準備の段階を終えて、いよいよ完成原稿へ進めるまでに至った。その過程で、とくに中世の詩人の用いた詩法を再検討する必要が生じて、北フラ... 今年度は、トルバドゥールのC写本をもとにしたアンソロジーの作成を第一の目標としてきたが、さいわい下準備の段階を終えて、いよいよ完成原稿へ進めるまでに至った。その過程で、とくに中世の詩人の用いた詩法を再検討する必要が生じて、北フランスのトルヴェール、南フランスのトルバドゥール、そしてドイツのミンネゼンガーの作品にかんして、その詩法の相違や影響関係を探ってみた。それが文学部比較文学研究室の『比較文学年誌』第37号に発表した論文である。 そのなかでは、1955年に亡くなったハンガリー生まれの研究者、イシュトヴァン・フランクの『トルバドゥール詩法総覧』を題材にして、またその比較文学の書『トルヴェールとミンネゼンガー』を再評価することによって、南仏の抒情詩の特徴を多少とも明らかにできたと思う。とくに強調しておきたいのは、トルバドゥールの用いたジャンルのひとつであるシルヴェンテス(風刺詩)の性格についてである。すなわちこのジャンルにぞくする詩の詩型とメロディーには、他のジャンル、とくにシャンソン(恋愛詩)からの借用が多いのだが、フランクの『詩型総覧』を見れば、その「もと歌」がどの詩人のいかなる作品であるかが、一目瞭然となる。メロディーについてもシルヴェンテスでは、オリジナルのものを用いる必要はなかった。具体的には、ペイレ・ライモン・デ・トローサのシャンソンの詩型ををベルトラン・ド・ボルンが借用して、さらにそれをペイレ・カルデナルが使ったという図式を、詩型と詩の内容を吟味すれば、推定できるのである。また、校訂にさいしての脚韻の扱い方(綴り字の問題)についても少しばかり論じておいた。 11月には、名古屋大学の佐藤彰一教授の招請したジャン・ヴザン氏(フランス国立高等研究院教授)に、早稲田大学文学部でも講演をお願いして、シナイ半島で12世紀に記されたラテン語写本の起源について論じていただいた。従来のビザンツ起源という定説にたいして、スペインから北アフリカを回ってシナイにまで到達したという説を強力に主張するヴザン氏の議論はたいへんに説得的で、これは名古屋大学大学院の西洋史研究室の報告集に佐藤彰一氏と共訳したものがすでに活字になっている。中世の12世紀における広い意味での写本文化の実態を把握できたという面で、私としても大いに収穫を得たと感じている。
2004年度
研究成果概要: 2003-2004年度において、本研究助成によって、オック語によるトルバドゥールの諸写本、とくにC写本における目次と索引と本文の不一致を網羅的に検討することができた。この過程で、C写本を底本として2002年末に刊行した「トルバ... 2003-2004年度において、本研究助成によって、オック語によるトルバドゥールの諸写本、とくにC写本における目次と索引と本文の不一致を網羅的に検討することができた。この過程で、C写本を底本として2002年末に刊行した「トルバドゥール詞華集」(大学書林)をもとに、収録作品を具体的に絞ることによって、問題の所在をあきらかできたのではないかと考えている。 すなわち、聖ヴー(聖顔)伝説である。ペイレ・ダルヴェルニェ(C写本)あるいはアルナウト・カタラン(M写本)の作品とされるDieus verays, a vos mi renで始まる抒情詩が、C写本の本文ではGeneys lo joglars a cuy lo voutz de Lucas donet lo sotlar「ルッカの聖顔がその靴を与えたところのジョングルールであるジェネイス」の作とされている理由である。C写本の編者(写字生)は、この伝説をそのままとって作者とすることに抵抗を感じて(写すもとになったオリジナルではそうあったのであろう)、目次の作者措定に、あらたにペイレ・ダルヴェルニェの名を付加しているのではないか。この仮説を、Cをもとにしたこの作品の新たな校訂を付し、ソルボンヌ大学の研究雑誌に発表した。また2004年3月に広島大学で開催された、中世フランス語の語彙にかんするフランス語によるコロック(研究集会)では、ラテン語のvultusから、volt (vou)という中世フランス語(オック語・オイル語)への変遷を、意味の面も考慮して、伝説の伝播と変容をもとに考察してみた。この発表を含む研究集会での成果は、2005年度中に、広島大学より刊行される予定である。 なお、本研究課題は、2004-2005年度に採択された科学研究費(基盤研究C-2)「写本テクスト学の構築に向けて―中世フランス抒情詩の諸相」に一部連動するものであり、2005年度9月にボルドー大学で開催される「第8回国際オック語オック文学研究学会」において、トルヴェールの写本を考察の対象に含めた最終的な研究成果は発表する予定である。
2011年03月-2012年03月
機関: 高等実習研究院・モンペリエ大学(フランス)
科目名 | 開講学部・研究科 | 開講年度 | 学期 |
---|---|---|---|
文学部 選択基礎演習 4 | 文学部 | 2020 | 秋学期 |
基礎講義 5 | 文学部 | 2020 | 春学期 |
基礎講義 6(再履) | 文学部 | 2020 | 秋学期 |
1年フランス語(Step 1)イ 2 | 文化構想学部 | 2020 | 春学期 |
1年フランス語(Step 1)イ 2 | 文学部 | 2020 | 春学期 |
1年フランス語(Step 1)ハ 2 | 文化構想学部 | 2020 | 春学期 |
1年フランス語(Step 1)ハ 2 | 文学部 | 2020 | 春学期 |
1年フランス語(Step 2)イ 2 | 文化構想学部 | 2020 | 秋学期 |
1年フランス語(Step 2)イ 2 | 文学部 | 2020 | 秋学期 |
1年フランス語(Step 2)ハ 2 | 文化構想学部 | 2020 | 秋学期 |
1年フランス語(Step 2)ハ 2 | 文学部 | 2020 | 秋学期 |
フランス語史 | 文化構想学部 | 2020 | 春学期 |
フランス語史 | 文学部 | 2020 | 春学期 |
フランス文学史1 | 文化構想学部 | 2020 | 春学期 |
フランス文学史1 | 文学部 | 2020 | 春学期 |
フランス中世・ルネサンス文学 | 文化構想学部 | 2020 | 秋学期 |
フランス中世・ルネサンス文学 | 文学部 | 2020 | 秋学期 |
フランス語フランス文学演習6(フランス文化2) | 文学部 | 2020 | 秋学期 |
フランス語フランス文学演習8(フランス文学5) | 文学部 | 2020 | 春学期 |
フランス語フランス文学演習(卒論)春学期(瀬戸 直彦) | 文学部 | 2020 | 春学期 |
フランス語フランス文学演習(卒論)秋学期(瀬戸 直彦) | 文学部 | 2020 | 秋学期 |
フランス文学研究指導1-1 M | 大学院文学研究科 | 2020 | 春学期 |
フランス文学研究指導1-2 M | 大学院文学研究科 | 2020 | 秋学期 |
フランス文学演習1-1 | 大学院文学研究科 | 2020 | 春学期 |
フランス文学演習1-2 | 大学院文学研究科 | 2020 | 秋学期 |
フランス文学研究指導1-1 D | 大学院文学研究科 | 2020 | 春学期 |
フランス文学研究指導1-2 D | 大学院文学研究科 | 2020 | 秋学期 |
2003年01月
概要:中世南フランスの抒情詩にかんしてのアンソロジーを,一写本に依拠してまとめてみた。原語・日本語訳の対訳形式で,脚注をつけ,さらに巻末には,中世南フランス語(オック語)の文法表と動詞活用表などを付しておいたので,この言語を学びたい者には教科書・参考書として使えるだろう。