フジノ キョウコ
教授
(文学部)
文学学術院(大学院文学研究科)
研究院(研究機関)/附属機関・学校(グローバルエデュケーションセンター)
教育・総合科学学術院(教育学部)
教育・総合科学学術院(大学院教育学研究科)
研究所員 2016年-
修士
日本犯罪心理学会 編集委員,研究委員,理事,常任理事
日本心理学会 編集委員
日本教育心理学会
日本心理臨床学会
日本犯罪社会学会
2006年-2006年 | 特別支援教育体制推進事業巡回相談員 |
2005年-2006年 | 学会連合「臨床発達心理士」認定運営機構 資格認定委員 |
2009年-2012年 | 東京臨床心理士会理事 |
2012年-2018年 | 「子どもに万引きをさせない連絡協議会」会長 |
2014年.6月- | 一般財団法人日本刑事政策研究会評議員 |
2015年12月-2016年02月 | 非行少年立ち直りワンストップセンター(ぴあすぽ)事業業務委託審査委員会委員 |
2016年04月- | 東京保護司選考会委員 |
社会科学 / 心理学 / 臨床心理学
個人研究
藤野京子
心理臨床学研究査読有り37(6)p.582 - 5922020年02月-
掲載種別:研究論文(学術雑誌)
藤野京子
月刊教職研修招待有り566p.86 - 872019年09月-
藤野京子
更生保護学研究招待有り14p.73 - 752019年-
掲載種別:研究論文(学術雑誌)
藤野京子
精神療法招待有り44(2)p.287 - 2882018年04月-
掲載種別:研究論文(学術雑誌)
藤野京子
被害者学研究招待有り28p.132 - 1442018年03月-
掲載種別:研究論文(学術雑誌)
藤野京子
矯正研究招待有り1p.184 - 1972018年03月-
掲載種別:研究論文(大学,研究機関紀要)ISSN:2433-8761
藤野京子 井上彩弥 東山哲也 向井智哉
犯罪心理学研究査読有り55(2)p.1 - 132018年02月-
掲載種別:研究論文(学術雑誌)
藤野京子
法と心理招待有り17(1)p.58 - 592017年10月-
掲載種別:研究論文(学術雑誌)
藤野京子
平成28年度子ども・若者育成支援のための地域連携推進事業報告書招待有りp.89 - 1112017年-
藤野京子
精神療法招待有り42(5)p.741 - 7412016年10月-
掲載種別:研究論文(国際会議プロシーディングス)
藤野京子
平成27年度 子ども・若者育成支援のための地域連携推進事業 報告書招待有りp.75 - 1012016年03月-
藤野京子
犯罪心理学研究査読有り52(1)p.47 - 582014年08月-
掲載種別:研究論文(学術雑誌)
藤野京子
平成25年度 子ども・若者育成支援のための地域連携推進事業 報告書招待有りp.244 - 2602014年03月-
藤野京子 長沼裕介
犯罪心理学研究査読有り50(1)p.1 - 132013年02月-
掲載種別:研究論文(学術雑誌)
藤野京子
早稲田大学大学院文学研究科紀要58(I)p.21 - 342013年-
掲載種別:研究論文(大学,研究機関紀要)
藤野京子
臨床教育人間学4 関係性をめぐって4p.47 - 822011年07月-
掲載種別:研究論文(学術雑誌)
佐藤良彦・多田一・川辺譲・藤野京子 他
中央研究所紀要20p.1 - 1192010年12月-
掲載種別:研究論文(大学,研究機関紀要)
藤野京子
犯罪と非行166p.5 - 282010年11月-
藤野京子
アディクションと家族査読有り27(2)p.139 - 1482010年10月-
掲載種別:研究論文(学術雑誌)
藤野京子
犯罪心理学研究査読有り47(2)p.33 - 462010年02月-
掲載種別:研究論文(学術雑誌)
佐藤良彦・多田一・川邉譲・藤野京子・坂井勇・谷村昌昭・東山哲也
中央研究所紀要19p.1 - 292009年12月-
掲載種別:研究論文(大学,研究機関紀要)
藤野京子
臨床発達心理実践研究4p.44 - 502009年07月-
藤野京子
ざ ゆーす5p.18 - 232009年03月-
藤野京子
犯罪心理学研究査読有り46(1)p.31 - 432008年05月-
掲載種別:研究論文(学術雑誌)
藤野京子
精神療法招待有り34(2)p.180 - 1862008年04月-
掲載種別:研究論文(学術雑誌)
藤野京子
臨床教育人間学 リフレクション2p.89 - 1072007年09月-
掲載種別:研究論文(学術雑誌)
高橋哲・藤野京子
アディクションと家族査読有り24(2)p.150 - 1592007年08月-
掲載種別:研究論文(学術雑誌)
藤野京子・高橋哲
アディクションと家族査読有り24(2)p.160 - 1682007年08月-
掲載種別:研究論文(学術雑誌)
Kyoko Fujino
Voices of Crime Victims Change our Society Child Abuse招待有りp.116 - 1292007年-
藤野京子
人事試験研究199p.2 - 92006年06月-
藤野京子
SCIO 東京矯正管区管内少年矯正広報誌「スキオ」312006年03月-
藤野京子
刑政117(1)p.36 - 442006年01月-
藤野京子
刑政116(8)p.46 - 532005年08月-
藤野京子・桑山龍次
法務総合研究所研究部報告27p.179 - 2032005年06月-
掲載種別:研究論文(大学,研究機関紀要)
寺戸亮二・藤野京子
犯罪と非行144p.99 - 1212005年05月-
藤野京子
更生保護56(2)p.26 - 292005年02月-
Kyoko Fujino
International Criminal Justice Review招待有り15(2)p.182 - 1832005年-
掲載種別:研究論文(学術雑誌)
藤野京子
オピニオン waseda.com on asahi.com2004年09月-
藤野京子
法律のひろば/ぎょうせい57(1)p.39 - 452004年01月-
藤野京子
法と心理学会第4回大会(シンポジウム)2003年10月-
庵前幸美・寺戸亮二・藤野京子・浅野法代・古田薫・徳田祐子・石井智之
法務総合研究所研究部報告22p.1 - 1052003年05月-
掲載種別:研究論文(大学,研究機関紀要)
藤野京子
罪と罰40(2)p.13 - 202003年02月-
Kyoko Fujino
ASC annual meeting2002年11月-
藤野京子
駒澤大学教育学研究論文集18p.113 - 1342002年03月-
藤野京子
教育心理学研究査読有り50(4)p.403 - 4112002年-
掲載種別:研究論文(学術雑誌)
藤野京子
更生保護51(5)p.12 - 172000年05月-
Kyoko Fujino
ACJS annual meeting1997年03月-
藤野京子
教育心理学研究査読有り44;31996年09月-
掲載種別:研究論文(学術雑誌)
小林京子
犯罪と非行971993年08月-
小林京子
刑政104;41993年04月-
藤野京子
犯罪心理学研究査読有り31;21993年-
掲載種別:研究論文(学術雑誌)
小林京子
犯罪心理学研究査読有り31;11993年-
掲載種別:研究論文(学術雑誌)
岡本吉生(分担執筆)
遠見書房2019年 03月-
教科書総ページ数:205担当ページ数:11-23ISBN:9784866160696
概要:第1章 犯罪心理学の歴史
早稲田大学文学学術院総合人文科学研究センター研究部門「現代日本における「信頼社会」再構築のための総合的研究」編(分担執筆)
文化書房博文社2018年 11月-
単行本(学術書)総ページ数:163担当ページ数:81-95 5章 女性の財産犯にとっての信頼とはISBN:9784830113116
Liu, J. & Miyazawa, S.(分担執筆)
Springer2018年 01月-
総ページ数:352担当ページ数:17ISBN:9783319693583
藤野京子・鷲野薫・藤掛友希・両全会薬物プログラム開発会
金剛出版2017年 09月-
単行本(一般書)総ページ数:347ISBN:9784772415767
越智啓太・桐生正幸(分担執筆)
北大路書房2017年 07月-
教科書総ページ数:614担当ページ数:3ISBN:9784762829758
デービッド・ガーランド著 藤野京子監訳(監修)
現代人文社2016年 11月-
総ページ数:379ISBN:9784877986520
内閣府(分担執筆)
内閣府政策統括官(共生社会政策担当)付青少年啓発担当2016年 11月-
総ページ数:177担当ページ数:6
概要:「問題行動を起こす子どもとのコミュニケーションのとり方」を執筆
ロナルド T. ポッターエフロン パトリシア S. ポッターエフロン(共訳)
金剛出版2016年 09月-
ISBN:9784772415132
日本犯罪心理学会(共編著)
丸善出版2016年 09月-
総ページ数:840ISBN:4621089552
藤野京子(分担執筆)
2016年 05月-
単行本(学術書)総ページ数:455担当ページ数:107-112, 366-376, 389-397ISBN:978479235183
藤野京子(編著)
クレス出版2016年 04月-
ISBN:4877339310
三宅篤子・佐竹真次
ミネルヴァ書房2011年 01月-
ISBN:9784623059164
藤野京子
明石書店2010年 06月-
ISBN:9784750332116
日本心理学諸学会連合心理学検定局編(10章犯罪・非行の一部を分担執筆)
実務教育出版2009年 07月-
ISBN:9784788960831
西本武彦・大藪泰・福澤一吉・越川房子 (20章の藤野京子は分担執筆者)
川島書店2009年 05月-
ISBN:9783761008512
日本心理学諸学会連合心理学検定局編 (藤野京子はその一執筆者)
実務教育出版2009年 04月-
ISBN:9784788960824
ローレンス・W・シャーマン、ディビッド・P・ファリントン、ブランドン・C・ウェルシュ、ドリス・レイトン・マケンジー編著 津富宏・小林寿一監訳者 島田貴仁・寺村賢志・藤野京子・渡辺昭一訳
(財)社会安全研究財団2008年 09月-
ISBN:9784904181027
E.K.ライナソン著 藤野京子訳
金剛出版2008年 09月-
ISBN:9784772410489
藤野京子・高橋哲・北村大
財団法人矯正協会2007年 11月-
ISBN:9784873870069
F.P.ウイリアムズ&M.D.マックシェーン著 藤野京子・浜井浩一・浜井郁子訳
財団法人矯正協会1997年 11月-
藤野京子 小川洋子 佐々木彩子 谷真如
日本犯罪心理学第57回大会2019年09月01日
国内会議シンポジウム・ワークショップ パネル(指名)開催地:日本女子大学
藤野京子
日本教育心理学会第60回総会2018年09月
国内会議ポスター発表
藤野京子
日本心理臨床学会第37回大会2018年08月31日
国内会議ポスター発表
藤野京子
日本応用心理学会第85回大会2018年08月
国内会議ポスター発表開催地:大阪大学人間科学部
藤野京子 野上智行 東山哲也
日本犯罪心理学会第55回大会 特別号 p.88-892017年09月
ポスター発表
野上智行 東山哲也 藤野京子
日本犯罪心理学会第55回大会 特別号 p.90-912017年09月
ポスター発表
藤野京子 向井智哉 東山哲也 井上彩弥
日本犯罪心理学会第53回 特別号 p.104-1052015年09月
ポスター発表
井上彩弥 東山哲也 向井智哉 藤野京子
日本犯罪心理学会第53回大会 特別号 p.106-1072015年09月
ポスター発表
藤野京子
日本心理臨床学会第34回PB5-612015年09月
国内会議ポスター発表
藤野京子
日本心理学会第79回大会2PM-0442015年09月
国内会議ポスター発表
藤野京子
第57回日本教育心理学会総会発表論文集2015年08月
ポスター発表
日本教育心理学会第56回総会 PD0412014年11月08日
ポスター発表
藤野京子
日本犯罪心理学研究 第52巻特別号 pp.168-1692014年09月
国内会議ポスター発表
2014年06月29日
口頭発表(一般)
日本犯罪心理学会第51回大会 特別号 p.144-1452013年09月29日
ポスター発表
藤野京子
第55回日本教育心理学会総会2013年08月
国内会議ポスター発表
日本心理臨床学会第31回秋季大会 B2-3-622012年09月15日
ポスター発表
日本心理学会第76回大会 3PMC262012年09月13日
ポスター発表
長沼裕介 藤野京子
第52回日本教育心理学会総会2010年08月
国内会議口頭発表(一般)
日本犯罪心理学会第46回大会2008年10月
シンポジウム・ワークショップ パネル(指名)
日本心理臨床学会第27回大会2008年09月
ポスター発表
日本犯罪心理学会第45回大会2007年09月
ポスター発表
日本心理学会第71回大会2007年09月
ポスター発表
日本犯罪社会学会第33回大会2006年11月
口頭発表(一般)
日本心理学会第70回大会2006年11月
ポスター発表
日本犯罪心理学会第44回大会2006年09月
ポスター発表
日本心理臨床学会第25回大会2006年09月
ポスター発表
関東子ども精神保健学会 第3回学術集会2006年03月
口頭発表(一般)
日本心理学会第69回大会2005年09月
ポスター発表
日本心理臨床学会第24回大会2005年09月
ポスター発表
藤野京子
犯罪心理学会2004年
公開講演
2002年11月
口頭発表(一般)
1997年03月
口頭発表(一般)
研究種別:
児童虐待等の被害経験が成人期女性に及ぼす影響に関する研究配分額:¥3700000
研究種別:
更生保護法人に帰住した女子窃盗事犯者の実態調査2015年-0月-2018年-0月
配分額:¥4550000
研究種別:
非行少年や犯罪者を抱える家族についての質的研究2018年-0月-2023年-0月
配分額:¥4290000
研究種別:
子どもの非行・虐待防止のための地域社会ネットワークの実証的研究2012年-0月-2015年-0月
配分額:¥5200000
2013年度
研究成果概要:1.本研究の目的 嗜癖についての研究は、精神医学の分野で積み重ねられてきており、物質の薬理作用であるところの中毒症状に対しては、投薬による治療が行われるようになってきている。しかし、その一方で、その精神依存については難治であること...1.本研究の目的 嗜癖についての研究は、精神医学の分野で積み重ねられてきており、物質の薬理作用であるところの中毒症状に対しては、投薬による治療が行われるようになってきている。しかし、その一方で、その精神依存については難治であることが知られている。加えて、物質使用経験者は、一定期間やめていても、容易に再発させてしまうことも知られている。これらへの対応として、医療関係者や心理の専門家による認知行動療法の視点を取り入れた介入や、元物質使用者で現在は回復者であるスタッフが中心になって提供しているダルクの活動や、物質使用者同士が共助するナルコティック・アノニマス (NA) 等のグループ・ミーティングなどが行われてきているものの、物質の再使用者は後を絶たない状況が続いている。 ところで、上記働きかけについて、ジェンダーの視点を十分に取り入れた働きかけを行っているところは多くない。大半の犯罪者が男性であることから、我が国の薬物事犯の受刑者や保護観察対象者の処遇では、男性を対象者とイメージして作られた介入プログラムを、女性にも原則適用しているのが実情であり、対象者が女性であるということを、どのように介入プログラムに組み込んでいくかは、個々の介入プログラム実施者にまかされているのが実情である。 しかし、近年、欧米では、ジェンダーによって、物質使用やそれへの治療について差異が見られることが報告され始めており、女性向けの介入のありようが検討され始めている。たとえば、Najavits (2002a) は、男性に比べて女性は気持ちの問題、例えば、過去のトラウマや気分の落ち込みや不安などをかかえて、それが物質使用につながっていることが多いこと、また、DVを含めた夫との関係や子育てのストレスなど、周囲の人との対人関係に疲労困憊し、その解消のために物質使用に至ることも多いこと、などを指摘している。すなわち、女性が物質使用をやめるには、適切な対人関係のあり方をさぐってみたり、押しつぶされた自我を元通りにしたりすることも、大切であると言及している。そして、物質使用に至った経緯や動機、物質使用によって失ったもの、物質使用をやめるに際しての障壁などは、ジェンダーの影響を多分に受ける、としている。藤野・高橋 (2007) でも、我が国の薬物事犯受刑者に性差を認めている。このほか、薬物事犯者に限定したことではないが、女性受刑者と男子受刑者には多様な違いがみられる (藤野, 2010)。 米国の連邦刑務所では、女性の薬物事犯者の生活実態を念頭においた介入プログラムが開発されている (Federal Bureau of Prisons & The Change Companies, 2004)。また、Najavits (2002b) やClark & Fearday (2003) は、女性の物質使用者が併存疾病を抱えている場合が多いことを踏まえた上での介入プログラムとなっている。 これらのことからは、我が国の女性薬物事犯者に対しても男性薬物事犯者とは異なった働きかけの必要性が示唆される。しかし、体系的な検討はなされていない。一方で、ジェンダーのありようは個々人が置かれている社会・文化を反映するので、必ずしも欧米と同様であるとは限らない。したがって、我が国の成人女性の物質使用者に対して、物質の再使用を抑止するのに有用な働きかけについて検討することを目的とした。2.研究方法(1)研究対象者 更生保護法人への入所期間が4か月未満の覚せい剤事犯女性(2)実施方法 同法人で2週間ごとに毎回1時間、グループ・ミーティング形式で実施。研究対象者の入所時期が異なり、かつ、在所期間が短く、同施設の入所者総数もそれほど多くないため、グループのメンバー構成はオープンとして、8名を上限とした。(3)扱う内容 対象者の年齢層やジェンダーを特定していない藤野・高橋・北村 (2007)の物質使用者に対するワークブック(認知行動療法を中心として折衷的に作成されたもの)の一部を取り上げ、成人女性という対象に限定した場合、同ワークブックをどのように変更していく必要があるか、すなわち、削除してよい箇所、修正すべき箇所、追加すべき箇所を検討することにした。追加する内容として検討する資料には、米国の連邦刑務所で使用されているFederal Bureau of Prisons & The Change Companies (2004)に加えて、過去のトラウマ経験、落ち込みや不安などの気持ちの扱い、対人関係の持ち方の扱い(家族関係を含む)、など女性においては特に配意する必要がある(ニーズがある)と欧米でみなされ始めている点に配意している併存疾病を抱える物質依存者への効果が期待されるものとの評価を受けているNajavits (2002b)、Clark & Fearday (2003) を含めることにした。3.結果及び考察 まず、刑務所在所中に物質離脱に向けてのなんらかの働きかけを受けた者が本研究対象者であったが、その働きかけの程度ないしその働きかけを通じての対象者自身の学びの程度は一様ではなかった。また、刑務所在所中という薬物を絶対に入手できない状況下と、更生保護法人在所中という薬物に触れようと思えば触れられる状況下とでは、類似の働きかけを行っても、対象者の受け止め方が異なることが明らかになった。 プログラムへの参加については、「もうやらないから不要」と楽観視する者、「薬物のことを考えるとかえってやりたくなってしまうので参加したくない」と薬物のことをあれこれ考えること自体を回避しようとする者、「慣れない日中の仕事で疲れてきっている。余暇時間くらいは、このようなものに参加せず、自由に過ごしたい」「目下、今後の生活プランを考えては不安が押し寄せてくる状態。その上に薬物のことを扱うと、一層気分がめいってしまう」など、参加への動機づけが低い者が少なからず見受けられた。プログラムに参加させるにあたっての動機づけを十分に行うことの必要性が示唆される。扱った内容のうち、状況ごとに物質使用のリスクがどのように変化するかを検討させる課題は、自身にとっての再発につながりやすい状況を把握するに当たって有意義な様子であった。 一定期間物質を使用せずにいられた場合の自分への褒美を考える課題においては、現実吟味をしながら自分の気持ちの張りになるものを選定するのが難しい様子で、非現実的なものを設定する者、特に何も思い浮かばないとする者が少なからず存在した。情報処理理論のもとづき、薬物使用時の代替思考を考えていく訓練や、薬物についての損得を考えさせる課題は、分析的・多角的に物事を考える習慣がない対象者にとって、なかなか自身の実体験と十分にリンクさせるまでにはいかない様子が観察された。その時々の気分に任せて思いついた行動をとっているのが実情なのであろう。 日々の生活において、情緒がきわめて不安定になってしまったり、突発的に行動してしまったりしていることを参加者は語っており、衝動のコントロールやリラクゼーションを含む自己統制の訓練が必要であることがうかがえたが、それを限られた期間の中で習得させるのは難しい様子であった。加えて、自身が思い受かる他者関係の持ち方や社会生活と現実とのギャップが大きく、それへの対処策として、現実即応的な方策を模索したり、あるいは自身を変えようとしたりするよりはむしろ、短絡的に物質で穴埋めしてしまおうとの思考の強さが認められた。<引用文献>Clark, C., & Fearday, F. 2003 Triad women’s project: Group treatment manual.Federal Bureau of Prisons & The Change Companies 2004 Residential drug abuse treatment-Women: Federal Bureau of Prisons women’s facilitator guide. NV: The Change Companies.藤野京子 2010 女性犯罪の現状と課題、藤野京子、犯罪と非行、166、5-28.藤野京子・高橋哲 2007 覚せい剤事犯受刑者の現状(2)-児童虐待被害経験からの分析-,アディクションと家族、24(2)、160-168.藤野京子・高橋哲・北村大 2007 薬物はやめられる!? 矯正協会Najavits, L. M. 2002a A woman’s addiction workbook: Your guide to In-depth healing. Oakland, CA, New Harbinger Publications, Inc.Najavits, L. M. 2002b Seeking safety: A treatment manual for PTSD and substance abuse. New York: Guilford.
2013年度
研究成果概要:1.研究の目的 非行少年や犯罪者は一般人に比べて共感性が低いかどうかについては、一貫した結果が得られていない。 共感を「他者の感情体験に対する感情的反応性」ととらえるDavis(1994)は、他者の苦痛に接した際に起こる反応として...1.研究の目的 非行少年や犯罪者は一般人に比べて共感性が低いかどうかについては、一貫した結果が得られていない。 共感を「他者の感情体験に対する感情的反応性」ととらえるDavis(1994)は、他者の苦痛に接した際に起こる反応として、相手の苦痛を軽減したいという他者志向的共感である「共感的関心」と、自分の中に生じた苦痛を軽減したいという自己に向けられる「個人指向共感」があるとしている。このDavisの主張のように共感性にはいくつかの側面があり、たとえば非行少年や犯罪者では個人指向共感が高く示される一方、一般人では共感的関心が高く示されるなど、共感の質が違うのではないかということが考えられる。 一方、非行少年や犯罪者と一般人との共感性の質に違いはないものの、共感する相手が異なり、たとえば非行少年や犯罪者は反社会的行動を促進する他者に共感する結果、逸脱行動が抑止されないということも想定できる。すなわち、共感性とはどの他者に対しても一様に喚起されるわけではないことも考えられる。共感の研究では、個々人にそなわった特性としての共感が取り上げられることが多いが、どのような場面で共感が喚起されるかということも大切であろう。 そこで、本研究では、後者を検証するために、その前段として大学生を調査対象に、共感する相手との関係性や状況によって、喚起される共感なり援助行動なりが異なるかどうかを調査することを目的とした。 なお、次年度以降、非行少年に同種の調査を行い、比較検討する予定である。2.方法(1)調査協力者:学生101名(男性33名、女性68名:18歳から25歳、平均20.55歳)(2)調査内容 いじめの被害を受けているとの話を聞くないし目の当りにするという以下の3場面を設定し、その3場面それぞれに居合わせたと想定した場合の、自身の反応について回答させた。 場面A:調査協力者といじめ被害者は知り合いでないが、その人がいじめられていると聞かされた。 場面B:調査協力者といじめ被害者は知り合いで、その人がいじめられているのを知らなかったが、いじめられていると聞かされた。 場面C:調査協力者といじめ被害者は知り合いで、その人がいじめられているのを知っているが、かばえば自分がいじめられそうである。 自身の反応として回答を求めたのは、Davis(1994)の個人指向共感及び共感的関心に相当するものを測定している登張(2005)の並行的感情反応及び他者指向的反応を参考に今回新たに作成した個人指向共感(6項目)及び他者指向共感(5項目)、共感喚起のモードとしてHoffman(1990)が提示した自動的・無意識的に起こるモード、認知的に高度のモードの概念に対応して生じるであろう対処項目として作成した衝動的対処(5項目)及び統制的対処(5項目)、加えて、共感を伴わない対処項目として作成した回避的思考(5項目)であった。 このほか、調査協力者のいじめ経験に加えて特性として、吉津・関口・雨宮(2013)の感情調整尺度の再評価項目(6項目)、原田・吉澤・吉田(2009)の注意の制御項目(9項目)、杉浦・佐藤(2005)のサイコパシー尺度の1軸も加味して作成した自己中心性項目(11項目)を測定した。3.結果&考察 上記場面によって各尺度得点が異なるかどうかを分析したところ、個人指向共感では、場面A、B、Cの順に得点が高くなり、いずれの場面間にも有意差が認められた。また、他者指向共感では、場面Aが場面B、Cに比べて有意にその得点が低かった。衝動的対処については、場面A、C、Bの順に得点が高くなり、いずれの場面間にも有意差が認められた。統制的対処については、場面Aが場面B、Cに比べて有意に得点が低かった。回避的思考については、場面B、C、Aの順に得点が高くなり、いずれの場面間にも有意差が認められた。これらは、同一個人であっても、状況に応じて、喚起される共感が異なることを示している。このほか、個人特性のうち感情調整ができる者ほど、場面によって、衝動的対処や統制的対処の程度が異なることが示された。 重回帰分析によって各尺度の関係を分析したところ、個人指向共感には注意制御特性が正の影響を及ぼしていること、他者指向共感には自己中心性特性が負の影響を及ぼしていること、統制対処や衝動対処には他者指向共感が正の影響を及ぼしていること、一方、回避思考には他者指向共感が負の影響を及ぼしていることなどが示された。 なお、調査協力者のいじめの加害や被害の経験(いじめ加害歴あり33名、なし67名、いじめ被害歴あり36名、なし64名)と各変数との関係を分析したところ、衝動対処について、A場面で、加害あり群よりもない群の方がその傾向が強いとの結果が得られた。また、回避思考については、A場面において、被害経験がある群よりもない群の方が、その得点が高いこと、また、C場面において、加害経験がある場合は、被害経験があるよりもない方が回避思考が強いのに対して、加害経験がない場合は、被害経験がないよりもある方が回避思考が強い傾向がみられた。参考文献Davis, M. H. 1994 Empathy: A social and psychological approach. Madison, WI: Brown & Benchmark. (デイヴィス、M. H. 菊池章夫(訳) 1999 共感の社会心理学 川島書店)原田知佳・吉澤寛之・吉田俊和 2009 自己制御が社会的迷惑行為および逸脱行為に及ぼす影響-気質レベルと能力レベルからの検討 実験社会心理学研究, 48, 122-136.Hoffman, M. L. 1990 Empathy and justice motivation. Motivation and Emotion, 14, 151-172.杉浦義典・佐藤徳 2005 日本語版Primary and Secondary Psychopathy Scaleの妥当性 日本心理学会第69回大会発表論文集, 407.登張真稲 2005 共感喚起過程と感情的結果、特性共感の関係-性の類似度、心理的重なりの効果 パーソナリティ研究, 13, 143-155.吉津潤・関口理久子・雨宮俊彦 2013 感情調整尺度(Emotion Regulation Questionnaire)の日本語版の作成 感情心理学研究, 20, 56-62.
2014年度
研究成果概要:<学外>様々な集団についての環境尺度を作成したMoosは学級環境尺度も作成している(Trickett & Moos, 2002)が、いずれの尺度についても、「関係性(人間関係)」、「個人の成長/目標志向」、「組織の維持と変...<学外>様々な集団についての環境尺度を作成したMoosは学級環境尺度も作成している(Trickett & Moos, 2002)が、いずれの尺度についても、「関係性(人間関係)」、「個人の成長/目標志向」、「組織の維持と変革」の3領域を測定していることが共通している。Moosの学級環境尺度には、生徒の勢力が」含まれていないことから、これらも勘案の上、我が国の学級事情を反映した尺度作成を試みた結果、「関係性」の領域では、「凝集性」、「軋轢」、「教師の援助性」、「リーダーの援助性」の4下位尺度、「個人の発達/目標志向」の領域では、「自己の成長」、「クラスとしての成長」の2下位尺度、「組織の維持と変革」の領域では、「規律と秩序」、「恣意存在」、「リーダーによる統率」、「教師による統率」の4下位尺度が認められ、さらに、いじめ現象と各下位尺度得点との間に関連が見られた。
2004年度
研究成果概要: 児童虐待等の被害経験が、その人の心身に及ぼす影響は大きいことが予想される。法務総合研究所では、平成12年に全国の少年院在院者に対して、また、平成14年に全国の一般市民に対して、アンケート調査を実施し、被害体験の過多を比較している... 児童虐待等の被害経験が、その人の心身に及ぼす影響は大きいことが予想される。法務総合研究所では、平成12年に全国の少年院在院者に対して、また、平成14年に全国の一般市民に対して、アンケート調査を実施し、被害体験の過多を比較している。ただし、両調査は調査対象となる年齢は著しく異なっており、それを比較することには、やや疑問がもたれるところである。そこで、本研究では、平成12年に実施した全国の少年院在院者調査の調査対象者の年齢層と比較的年齢層が近い大学生を調査対象とすることで、非行少年とそれ以外の者との被害体験の過多等を比較することを第一の目的とした。このほか、児童虐待以外の他の被害状況、そうした被害経験が及ぼす影響についても明らかにすることとした。 本調査の有効回答者数は、266名(内訳は男子90名、女子175名、性別不明1名。平均年齢は20.8歳)であった。 その結果、法務総合研究所が行った一般市民を対象とした場合の比較結果と同様、少年院在院生に比べて大学生は、児童虐待を含む各種被害経験を有する比率が低いことが示された。また、少年院在院生で見られた傾向と同様に、家族から被害を受けた者(親に限らず兄弟等同居している家族全員を含む)の方が受けない者に比べて、家族以外から被害を受ける確率が高くなるとの結果も得られた。 加えて、就学前、小学校時代、中学校時代、高校時代のそれぞれに時期について、児童虐待を含む各種被害経験を有する者と有しない者を比較すると、前者の方が、自他への暴力行為などの各種問題行動、体調不良、健全でない心的状態などを伴う確率が高いことが示された。また、調査時点における精神健康度調査を比較してみると、前者の方が、健康度が不良である傾向がみられ、加えて、不信感について測定した結果についても、前者の方が不信感が強い傾向にあるとの結果が得られた。 これらの結果からは、児童虐待を含む各種被害経験については、その被害を受けた時点にとどまらず、それに続く後の生活においても大きな影響を及ぼしていることが示されたと言える。
2010年10月-2011年09月
機関: ケンブリッジ大学(イギリス)
科目名 | 開講学部・研究科 | 開講年度 | 学期 |
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公認心理師の職責 | 教育学部 | 2020 | 春学期 |
公認心理師心理実習 | 教育学部 | 2020 | 通年 |
卒業研究(藤野 京子) | 文化構想学部 | 2020 | 通年 |
基礎講義 5 | 文学部 | 2020 | 春学期 |
基礎講義 6(再履) | 文学部 | 2020 | 秋学期 |
司法・犯罪心理学 | 文化構想学部 | 2020 | 秋学期 |
司法・犯罪心理学 | 文学部 | 2020 | 秋学期 |
心理学概論2 | 文化構想学部 | 2020 | 秋学期 |
心理学概論2 | 文学部 | 2020 | 秋学期 |
教育・学校心理学 | 文化構想学部 | 2020 | 春学期 |
教育・学校心理学 | 文学部 | 2020 | 春学期 |
心理学演習1(心理学実験) A | 文学部 | 2020 | 春学期 |
心理学演習3(心理学研究法) A | 文学部 | 2020 | 秋学期 |
心理学演習11 I(卒論) | 文学部 | 2020 | 春学期 |
心理学演習18 I(卒論) | 文学部 | 2020 | 秋学期 |
心理学演習6(心理学的支援法) | 文学部 | 2020 | 春学期 |
心理学演習19 I(卒論) | 文学部 | 2020 | 春学期 |
心理学演習20 I(卒論) | 文学部 | 2020 | 秋学期 |
心理学演習(卒論)春学期(藤野 京子) | 文学部 | 2020 | 春学期 |
心理学演習(卒論)秋学期(藤野 京子) | 文学部 | 2020 | 秋学期 |
心理学研究指導12-1 M | 大学院文学研究科 | 2020 | 春学期 |
心理学研究指導12-2 M | 大学院文学研究科 | 2020 | 秋学期 |
心理学研究13 | 大学院文学研究科 | 2020 | 春学期 |
心理学演習12-1(司法・犯罪分野に関する理論と支援の展開) | 大学院文学研究科 | 2020 | 春学期 |
心理学演習12-2 | 大学院文学研究科 | 2020 | 秋学期 |
心理学研究指導12-1 D | 大学院文学研究科 | 2020 | 春学期 |
心理学研究指導12-2 D | 大学院文学研究科 | 2020 | 秋学期 |
公認心理師心理実践実習1 A | 大学院教育学研究科 | 2020 | 春学期 |
公認心理師心理実践実習1 B | 大学院教育学研究科 | 2020 | 秋学期 |
公認心理師心理実践実習2 A | 大学院教育学研究科 | 2020 | 春学期 |
公認心理師心理実践実習2 B | 大学院教育学研究科 | 2020 | 秋学期 |
こころとからだの健康 2 02 | グローバルエデュケーションセンター | 2020 | 冬クォーター |
2005年04月-
概要:効果的な教育方法を行うために、学生に第1回目の講座の際にニーズ調査を行っており、また講座終了後、授業についての感想についての調査も行っている。
2005年04月-
概要:演習で学生がまとめた成果を授業参加者以外に発表する場を設けている
2004年04月-
概要:心理学が応用されている社会場面の見学(例えば、少年院、刑務所、裁判所、自助グループなど)を積極的に行っている
2006年04月-
イベント・番組・雑誌名:西日本新聞
概要:シリーズ「こどもたちは今」で、非行少年が非行に走る理由や立ち直りにあたっての処方箋について、記者のインタビューに答えた内容が掲載
2005年02月-
イベント・番組・雑誌名:茨城新聞
概要:常盤大学大学院被害者学研究科・芝浦サテライトキャンパス開設記念国際被害者学研究所 第2回シンポジウム「児童虐待−国際的視点から見た原因と対応」のパネラーとしての発言内容などが掲載